Ⅴ長崎 MF ウェリントンハット(28)「南米らしくない」好選手

Jデビュー戦で勝利に貢献したウェリントンハット。「もっともっと自分のいいところを見せられる」=岡山市、シティライトスタジアム

 遅咲きのブラジル人アタッカーがJデビュー戦を白星で飾った。23日に行われたJ2第15節のアウェー岡山戦。右MFで先発したウェリントンハットは、後半21分に退くまで精力的にピッチを駆け回り、1-0の勝利に貢献した。「デビューできてうれしいし、何と言っても勝利。しかもアウェーで取れたのが一番大きい」。異国の地で上々のスタートを切り、ほっとした表情を浮かべていた。
 松田監督が「派手さはないが、サッカーをよく知っている。勝負どころを分かっている」と表現する、ある意味「南米選手らしくない」好選手だ。守備時は危険を敏感に察知。自ら体を張ることでピンチの芽をつぶした。攻撃では前半35分、CKのこぼれ球にいち早く反応。キックフェイントから勢い十分の初シュートを放った。
 期限付き移籍が発表されたのは3月29日と早かったものの、コロナ禍の入国後隔離があり、チームへの合流は今月上旬まで延びた。その間にV・ファーレン長崎は監督が交代。失点が多かったため、チーム事情に逆行するように前線の選手を補強することを疑問視する向きもあったが、守備でも献身的なプレーで早くも内外の信頼をつかんでいる。
 ブラジル3、4部や地域リーグでの下積みが長く、2013年から実に9クラブを渡り歩いている。ブラジル1部で頭角を現したのが昨年。保有元のACゴイアニエンセが簡単に手放さない中、V長崎が魅力的なオファーを繰り返して獲得にこぎ着けた。
 Jデビュー前の16日に行われたエリートリーグ鹿児島戦では、先制点を含む3ゴールに絡んでいる。「日本サッカーはスペースがなくてタイトだが、自分も少しずつ対応している。100パーセントになれば、もっともっと自分のいいところを見せられる」。次節のホーム山口戦でJ初ゴールとなるか。

 


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