高校時代からの痛みが解消 手術を経てロッテ左腕が見据える“逆襲”「全部勝つつもり」

ロッテ・土肥星也【写真:荒川祐史】

ロッテ・土肥は19年秋に左肘手術、20年は登板機会がなかった

交流戦初戦をセ・リーグ首位の阪神相手に快勝したロッテ。今季はここまでドラフト1位ルーキーの鈴木昭汰投手が既に10試合に登板するなど若手投手の台頭が著しいが、2軍にも登板機会を虎視眈々と狙う有望投手が多い。左肘故障からの復帰を目指す5年目左腕・土肥星也投手もその一人だ。

少しずつだが、しっかりと1軍のマウンドへ歩を進めている。失意の1年を経た左腕が現状を次のように説明した。「痛みもなく、不安なく投げられています。ここからはもっと(ボールに)強さを出していきたいですね」。

尽誠学園から大阪ガスを経てドラフト4位で入団した左腕。ルーキーイヤーの2017年に救援で18試合に登板し、先発に配置転換された2年目には2勝をマークした。しかし、1軍で6試合に登板(1勝0敗)してプロ3年目を終えた2019年10月に左肘の関節鏡視下クリーニング術を行い、昨季は2軍でも登板機会がなかった。「高校時代から肘には不安があって、いよいよ曲げ伸ばしもできない状況になって手術に踏み切りました」。

捲土重来を期した今季も、春季キャンプで上半身のコンディション不良のため出遅れてしまったが、その後は回復。2軍で徐々に投球数を増やし、5月14日の巨人戦では今季最多の62球を投げて5回を6安打3失点で勝利投手になった。

「去年は不安ばかり、今は試合で投げられるのが楽しい」

直球とチェンジアップのコンビネーションを武器にする左腕。「去年は不安ばかりでしたが、今は試合で投げられるのが楽しい。ようやく試合勘も出てきて、打者との駆け引き、打者を見ながら投げられるようになってきました」。ここまで直球の最速は141キロで「もう少しいけるかなという感じ」と手応えを口にする。

苦しんだ1年間も決して無駄にはならず「ここが張ったら痛みが出てくるとか色々、体のことを考えるようになった。これまでは肘に違和感が出てから対処していましたが、準備やケアをしっかりするようになった」と語る。

見据えるのは今季中の1軍での登板。先発陣は二木、美馬、岩下、小島、石川、鈴木ら層は厚いが、そこに割って入るつもりだ。「ウチの先発は安定していますが、連戦の時とか1試合でもチャンスを得てしっかり結果を残せるようにしたい。そのためにも2軍で任された試合は全部勝つつもりで投げたい」。

小野、大隣両2軍投手コーチからは「まだ球速もコントロールも物足りない」と指摘されているという左腕。課題をクリアした時、2年ぶり1軍マウンドが現実のものとなる。

○土肥星也(どひ・せいや)1995年7月7日生まれ、25歳。大阪府大東府出身。尽誠学園では3年夏に香川県大会準優勝。大阪ガスでは2015、16年に社会人日本選手権出場。2016年ドラフト4位でロッテ入団。昨季までの通算成績は30試合登板、3勝2敗、防御率5.33。186センチ、90キロ。左投左打。(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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