〈動画あり〉コミュニケーション補助に 特別支援学校の児童生徒向け音声再生装置を製作  「個に応じた教材作り」学ぶ 上教大

 上越教育大(上越市山屋敷町、林泰成学長)の学部2年生15人は25日、特別支援学校の児童生徒向け音声再生装置「おにぎりVOCA(ボカ)」を製作した。完成品は教材として市内外の特別支援学校に贈られる。

 製作は特別支援教育に関わる科目「学習活動に困難のある子どもの教材づくり」の授業で行った。特別支援の場では、児童生徒それぞれに合わせた教材を、教員自らが作ることを求められることが多い。授業を担当する藤井和子教授(教職大学院)は「個に応じた教材を作る意識を学んでほしい」と話す。

 おにぎりVOCAは三角おにぎり形のケースにメーンのボタンが一つある構造をしており、ボタンを押すとあらかじめ録音した短い音声が再生される。発声による情報伝達が難しい子どもたちのコミュニケーションの補助として使うことで、授業への積極参加や、校外活動の円滑化などの活用が見込まれる。東北福祉大の杉浦徹准教授が開発、発表した。

 授業で作った同教材は、県立上越特別支援学校実習助手の広瀬政春さんが元のデザインに手を加えたもので、広瀬さんが指導役として授業に協力した。

部品を導線でつなぎ組み立てていく学生たち。上越特別支援学校の広瀬さん(右)が作り方を説明した

 学生たちはスイッチや回路基板などを配線でつないだ。はんだごてを使っての電子工作で、同大大学院で技術分野を教える東原貴志准教授も助っ人として学生たちを指導した。

 おにぎりVOCAは拡張性があり、さらに大きなスイッチや、ナースコールの形をしたスイッチなどをつなぐこともできる。2年生の大越玲哉さんは「子どもの症状やレベルに合わせて、少しでも楽になるように考えて教材作りをするのは、やりがいがある。はんだ付けは中学以来で、作っていて楽しかった」と語った。

おにぎりVOCAの完成品。中央にあるボタンを押すと、録音された音声が再生される。録音はやり直すことが可能

 完成品は広瀬さんを通じて同校や県外の特別支援学校で使われる。広瀬さんは「作った物が生かされることが学生にとっても良い経験になる。多職種連携で社会貢献になれば」と話していた。

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