コロナ禍の物件探し模索 従来の枠超えウェブ展開 波佐見「あるある不動産」

ウェブ展開で地域全体の魅力発信を目指す浅田夫妻=波佐見町折敷瀬郷、アサダ建設

 新型コロナ禍で対面型の接客が制限される中、長崎県東彼波佐見町の建設会社「アサダ建設」(浅田久太社長)の不動産部門「あるある不動産」が、ウェブ展開を強化している。詳細な物件情報を盛り込んだ情報サイトを立ち上げたり、地域の魅力を発信するPR動画を制作したりと、従来の不動産業の枠を超えたユニークな取り組みでコロナ禍での物件探しにどう対応するか模索する。
 同社は8年前に不動産業に本格参入。浅田勝也専務取締役(36)と、妻で社員のナルミさん(36)が業務を受け持ち、東彼3町や佐世保市、佐賀県の一部地域で物件や土地を取り扱う。
 当初は複数業者が登録するポータルサイトに物件情報を掲載し、問い合わせを受けた場合に実地を案内する一般的な営業スタイルを取っていた。だがポータルサイトは、掲載する写真が限られ、「イメージと違った」と客が内見で落胆するケースも多かったという。
 そこで2017年、自前の不動産情報サイト「Oheso Journal(オヘソジャーナル)」を開設。「自称・日本一詳しく不動産情報を掲載するウェブメディア」を目指し、詳細な物件紹介に注力した。
 1物件あたりの写真は50枚以上。外観や内装だけでなく、周辺の風景写真や360度写真、バーチャル案内動画なども掲載し、住環境をイメージしやすくした。通常はサイトに載せないひび割れやシロアリ被害、雨漏りなどの欠点もつまびらかにして、内見時との落差を軽減した。
 浅田専務は「同業者には『なぜそこまで』と不思議がられるが、結果として、内見を申し込む客は、契約に相当前向きな場合が多く、成約率は上がった」と話す。新型コロナ禍により、接触を避ける傾向が強まってからは、より効果を実感するようになったという。
 サイトでは、仲介した物件の改装事例や移住者の暮らしぶりなども記事で紹介する。5月には、地元を拠点に活動するモデル、細川小春さん(25)を起用し、東彼3町や佐世保市の観光スポットを紹介したPR動画を制作。動画投稿サイトで公開した。浅田専務は「物件紹介だけでなく『地域でのライフスタイル』を総合的に提案することで、空き家解消や移住促進につなげたい。地元企業ならではのやり方で地域に貢献できれば」と語る。

「あるある不動産」が制作した地域のPR動画の一場面

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