公立校の体罰減少 2020年度、被害児童生徒52人 長崎県教委調査

県立公立学校の体罰の実態把握調査

 長崎県教委は26日、2020年度における体罰の実態を把握する調査結果を公表した。県内の公立小中高で体罰をした教職員は30人(前年度39人)、体罰を受けた児童生徒は52人(同79人)でいずれも前年度から減少した。体罰を受けた児童生徒のうち6人がすり傷や打撲など負傷。教職員の懲戒処分はなかった。
 同日の定例教育委員会で報告した。調査は教職員や児童生徒、保護者を対象に実施。報告事例も含め、体罰をした教職員の内訳は小学校12人、中学校11人、高校7人。発生した状況は授業中が14件で最多だった。
 体罰の内容は「素手でたたく」が10件、「投げる・転倒させる」が2件のほか、教科書でたたくなど「その他」が16件。
 体罰により教育委員会から訓告などを受けた教職員は6人。主な事案は、中学校の教諭が授業中に姿勢の悪い生徒に対し、本人の了解を得た上で腰部分と椅子をひもで結ぶ行為など。
 校長指導は24件で、小学校教諭がルールを守らない児童に対し感情を抑えることができず、机を蹴って児童の右肩を押して転倒させ、児童が手首を骨折するなどの事例があった。
 体罰を受けた児童生徒の内訳は小学生27人、中学生17人、高校生8人。体罰把握のきっかけは、教職員の申告と児童生徒や保護者からの訴えが各14件、その他が2件だった。特別支援学校は体罰をした教職員、体罰を受けた児童生徒のいずれもいなかった。
 県教委は17年度から教職員に「体罰によらない指導」について目標を設けさせ、校長面談で状況や成果を確認するなど根絶に向け対策を講じている。委員からは17年度以降の取り組みの成果を分析し、より具体策を求める意見も挙がった。

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