次の引き取り手に… コロナ禍でニーズが増加「植木の里親」

持ち主が手放すことになった観葉植物や植木を無料で次の引き取り手に渡そうという活動が、新型コロナウイルスによる「おうち時間」に潤いを与えています。

東京・八王子市で造園業を営む山下力人さんは、本業のかたわら「植木の里親」活動に取り組んでいます。きっかけとなったのは2012年、家を建て替える人から庭木の伐採を依頼されたことでした。山下さんは「『実は亡くなった主人が大切に育てていた植木で、本当は伐採したくない』と聞いた。じゃあ、資材置き場で大切に木を育てますと掘り取って、持ち帰ったのがきっかけ」と話します。

伐採前に聞き取りを行うと、ほとんどの人が「伐採よりも、誰かに引き取ってもらい育ててほしい」と望んでいることが分かったといいます。運搬費用などは実費負担ですが、植木そのものは無償で譲渡しています。

こうして、山下さんの「植木の里親」探しの活動が本格化しました。最近はコロナ禍で増えた「おうち時間」を植物のある環境で過ごそうと、植木の引き取り手が増えていると話します。山下さんは「去年の緊急事態宣言以降は引き合いが多く、今では引き取ってきた情報を流せばすぐに引き取り先が決まる」といいます。

山下さんの元には"里親"から元気に育っている草木の画像も寄せられています。赤い実がなったユスラウメの木は、元の持ち主が3年前にがんを患い、「終活」の一環として思い出の詰まった木を山下さんに託したもので、間もなくして"里親"に引き取られていったものです。そして今回、見事な実のなったユスラウメの画像を元の持ち主に知らせたところ、「赤い実が鈴なり! 山梨の青い空に映えますね」と喜びの声が届きました。

山下さんの"植木の命をつなげる"活動は今年で10年目を迎えました。山下さんは「伐採予定だった植木を助ける・命をつなぐことは、お客さんがとても喜んでくれるし、すごくやりがいを感じている。新築の家を建てたら、庭のシンボルツリーとして今まで誰かが育てた大切な植木を引き取って育てる。そんな文化ができていったらいいなと思っている」と話しています。

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