長崎市平野町の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館で27日、18万6057人の名前が記された原爆死没者名簿を外気にさらし、傷みなどを確認する「風通し」があった。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で専門業者が長崎に来られず中止しており、2年ぶり。市職員11人が犠牲者を追悼し、1枚ずつ丁寧にめくった。
名簿は計191冊。うち1冊は、原爆投下直後に亡くなった身元不明者を弔うため白紙。昨年7月までに亡くなり、登載を希望した3413人分を追加し、重複が分かった25人を削除した。市は2018年から国が指定する地域外で被爆した「被爆体験者」なども登載しており、計217人分も記されている。
窓を開放した風通しのいいラウンジに名簿を並べ、職員らは原爆投下時刻の午前11時2分に、名簿に向かって黙とうをささげた。
亡くなった祖父が被爆者という原爆被爆対策部の吉澤静渉さん(26)は「祖父の名前がどこかにないかと考えながらめくった。原爆が二度と使われないことが大切だと感じた」と話した。
名簿は1968年から作成した。昨年8月以降の死没者の記入は6月1日から始め、今年の平和祈念式典で奉安する。
原爆死没者名簿 2年ぶりの「風通し」 追悼の思い込め
- Published
- 2021/05/28 10:58 (JST)
- Updated
- 2021/05/28 23:49 (JST)
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