固定観念を覆す、人を噛むおじさんの天使も登場 日本と韓国の家族描く 石井裕也監督「アジアの天使」予告

7月2日から劇場公開される、ソウルで出会った日本と韓国の家族が新たな家族の形を模索する映画「アジアの天使」の、予告編が公開された。

公開された予告編は、一人息子を連れて決死の覚悟で韓国にやってきた剛(池松壮亮)と、2人を迎える兄(オダギリジョー)のやりとりから始まる。「この国で必要な言葉は”メクチュ・チュセヨ(ビールください)”と”サランヘヨ(愛してる)”だ」と説く兄。あるとき剛は、1人で泣いている韓国の歌手ソル(チェ・ヒソ)を日本語で励ますが、その善意は伝わらない。そして、偶然の出会いをきっかけに、心に傷を負った日本と韓国の2つの家族が旅に出て、道中でさまざまな出来事をともに体験する様子が描き出されている。

予告編の後半には、剛とソルが「見た」という不思議な天使の姿も映し出されている。その天使は東洋のおじさんのような姿をしており、人の肩を噛むという性質を持つ。”人を噛む天使”というキャラクターは、石井監督が脚本・演出を手がけたオダギリジョー主演のテレビドラマ「おかしの家」(2015年)でも使用しており、本作では二つの家族をつなぐ要素として登場させている。また、一般的なイメージと異なる天使は、価値観や固定観念に囚われなくてもいいという作品全体のメタファーになっているという。

「アジアの天使」は、「舟を編む」などの石井裕也監督の最新作で、95%以上のキャスト・スタッフが韓国チーム、ロケ地はすべて韓国という作品。日本から渡った韓国で事業に失敗した兄弟と、韓国社会から弾かれている兄妹という、心に傷を持つ不器用な2つの家族を通して、言葉や国籍を超えた新しい家族の形を築いていく姿が描かれる。池松壮亮、オダギリジョー、チェ・ヒソらが出演している。

【作品情報】
アジアの天使
2021年7月2日(金)テアトル新宿ほか全国公開
配給:クロックワークス
(c) 2021 The Asian Angel Film Partners

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