鷹バレンティンは復活できるか? 苦戦した昨季からの“変化”と騒動の真相

ソフトバンクのウラディミール・バレンティン【写真:藤浦一都】

2回に今季初本塁打となる勝ち越し弾を放つと、5回には1試合2本塁打となるソロ

■ソフトバンク 9ー3 巨人(28日・PayPayドーム)

ソフトバンクは28日、本拠地・PayPayドームで行われた巨人戦に9-3で大勝した。「7番・DH」でスタメン出場したウラディミール・バレンティン外野手が2回に今季初本塁打となる勝ち越し弾を放つなど、1試合2本塁打と大暴れ。外国人では史上4人目となる通算300号に王手をかけた。

眠れる大砲がついに目を覚ましたか。「7番・DH」でスタメン起用されたバレンティンが大仕事だ。同点で迎えた2回、巨人先発の畠が投じた外角低めのカーブを体勢を崩されながらも左翼ホームランテラス席へと運んだ。驚きの一発は今季初本塁打。昨年8月15日のオリックス戦以来となる1軍公式戦での本塁打となった。

さらに5回2死二塁での第3打席。今度は2番手・桜井のボールを完璧に捉えた。左翼のウィーラーはその場から一歩も動かないほどの当たり。左翼スタンド中段に突き刺さる2号2ラン。「2打席ともいい感触だった。2打席目は完璧な当たりでチームの追加点を取れてよかった」。今季初のお立ち台で笑顔で2本塁打を振り返った。

昨季、ヤクルトから鳴り物入りで加入したバレンティン。だが、初めてのパ・リーグということもあり、打撃不振に苦しんだ。1軍では60試合に出場して打率.158、9本塁打22打点。怪我で15試合の出場にとどまった2015年以来の1桁本塁打に終わり、8月の半ばから1か月半ほどはファーム暮らし。シーズン終盤の10月に1軍に復帰したものの、ベンチを温める日々が多かった。

「いい時でも悪い時でも野球は楽しむことを心がけている」

2年目を迎えた今季、バレンティンは自身の打撃を見つめ直したという。「自分のことを良く研究したよ」。臆せずインコースに投げ込んでくるパ・リーグの投手に苦戦したことが大きな課題だった。「真ん中からインコースにより早くバットを出せるようにやってきたんだ」。勝負がかかる移籍2年目。序盤は2軍暮らしだったが、腐らず打撃の状態を上げることに注力した。

昨季途中、自身のSNSで「お金で幸せは買えない」といった内容の投稿をし、世間を騒がせた。昨季はコロナ禍のために家族が来日できず、バレンティンは単身赴任。球団関係者によると、この頃、米国に残した家族との間に不安を抱えており、精神的に苦しんでいたのだという。2軍暮らしが続いていたこともあり、タイミング悪く、ああいった誤解を招く投稿になったのだという。

ただ、そうした不安を抱えながらも、グラウンド上では明るく振る舞ってきた。昨季も終盤、ベンチを温める日々が続いても川島らとチームの雰囲気を盛り上げる姿が印象的だった。「どんな時でも、いい時でも悪い時でも野球は楽しむことを心がけている。今、それができているというのは嬉しいことだね」。今季も松田や川島らと和気藹々とした雰囲気を生み出している。

2013年にはプロ野球記録となる60本塁打を放ち、3度のセ・リーグ本塁打王にも輝いたバレンティン。外国人ではタフィ・ローズ(464本)、アレックス・ラミレス(380本)、アレックス・カブレラ(357本)に続く4人目となる通算300号まで、あと1本。大砲・バレンティンは、慣れ親しんだセ・リーグ相手の交流戦で真の復活を遂げるだろうか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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