越乃花(柿崎区出身)大相撲引退 11年67場所務める 就職し第二の人生へ

 柿崎区出身の大相撲力士、越乃花(えつのはな、29、立浪部屋、本名・小池友弥さん)が5月場所限りで引退した。日本相撲協会に引退届を提出し、26日に発表された。高田農高卒業以来11年余り、勝負の世界に身を置き、「後悔はしていないが、部屋のみんなと別れるのがつらい」と話す。今後は運送会社に勤め、第二の人生をスタートさせる。

 平成22年1月、上越市出身力士では久しぶりに角界入り。67場所を務め、生涯成績は220勝199敗43休、最高位は平成28年5月の幕下東44枚目。その直後に右小指を脱臼して途中休場するなど、度重なるけがにも悩まされた。

 三段目在籍が44場所と長く、最後の5月場所は序二段西28枚目で4勝3敗と勝ち越した。しこ名は入門時の越ノ浪から越錦、越乃花へと改めた。

 「10年以上やって、楽しい、つらいこともあったが、乗り越えられたのも部屋のみんなのおかげ。正直言ってもう少しやりたかったけど、どこかで区切りを付けないといけない」と心残りの言葉も発する。部屋の連帯感が強く、第二の人生の門出を祝すように、弟弟子の幕内・明生関(25)がスーツを作ってくれたという。

越乃花(本名・小池友弥さん)=本人提供

 新たな就職先は元力士の紹介で、埼玉県の運送会社。6月末か7月から働き始める予定。「相撲界という貴重な経験ができた。それを生かし、自分で将来何をやりたいかを考えながら働きたい。人の役に立ちたい」と話す。183センチ、140キロの体は減量するという。「今は不安とドキドキワクワクが半々です」と明るい口調で話した。30日に部屋で断髪式を行うことにしている。

よく頑張った 柿崎国技会・山田攻会長

 柿崎小4年から柿崎国技会で相撲を始め、柿崎中、高田農高で競技した。同会で長年指導し、応援ツアーなどを企画してきた山田攻会長(78)は「けががあって不完全燃焼の思いもあるだろうが、よく頑張った。今後は全く違う社会に出る。相撲界で我慢強さを養ってきたと思うので、頑張ってもらいたい。余裕ができたら、相撲に携わって子どもたちを教えてほしい」とねぎらいの言葉を贈った。

応援ツアーで恩師、柿崎国技会の山田会長(左)から激励された越乃花(平成29年5月、当時越錦)

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