震災被災地へ癒しの楽曲 「いのちの地球」新屋賀子さん、7月に披露

津波をテーマにした「いのちの地球」の弾き語りをする新屋賀子さん=みどりアートパーク

 東日本大震災で東北地方を襲った津波をテーマにした楽曲「いのちの地球(ほし)」を、川崎市多摩区の音楽家新屋賀子さん(47)がつくり上げた。震災の3年後に夢で見た津波のイメージをもとに作詞・作曲。命をはぐくむ地球への思いを表現し、被災者の癒やしになるよう願いを込めた。7月に横浜市内で開かれる震災関連の催しで、愛のメロディーを届ける。

 「震災の日にテレビで見た大きな津波のようだった」。新屋さんは2014年3月初め、自宅で就寝中に見た津波の夢を鮮明に記憶している。

 東京大大学院修士課程で教育心理学を学び、臨床心理士でもある新屋さん。夢の続きを音楽を使ったイメージ療法で想起した。すると青い地球や地表の芽が大きな木に育つ風景が浮かび、ピアノの旋律と歌詞ができたという。

 〈たとえどれだけ傷ついてもただ静かに安らぎの光を放つすべてを許すいのちの星すべてを癒やす愛の星〉

 地球への思いを込めた楽曲の制作から7年がたった21年4月、初めて被災地を訪れて岩手県陸前高田市、宮城県南三陸町、福島県南相馬市で被災者と交流。心のケアの必要性を感じる一方、地域を新たに創造する姿に感銘を受けた。

 「苦労やつらさだけでなく、地球や自然の美しさ、人の心の強さを被災者と共感できた」

 新屋さんの演奏は7月31日、横浜市緑区のみどりアートパーク(緑区民文化センター)で開かれる催し「親子で学ぼう戦争と東日本大震災」で披露される。

 岩手県立大槌高校OBをはじめ、同校と音楽交流を続けてきた神奈川県立希望ケ丘高校、湘南高校、川和高校の吹奏楽部OBも演奏する。復興支援で横浜市から大槌町に派遣された元職員らも参加。新屋さんによるピアノの弾き語りと吹奏楽の共演でフィナーレを飾る。

 問い合わせは、主催者の須摩修一さん電話090(2521)1996。

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