ホンダ ステップワゴンはヴォクシーやセレナよりも燃費も使い勝手バツグン! なのに販売不調なのはデザインの大人しさが原因だった!?

いまもっとも売れているミニバンといえばトヨタ アルファードだが、次いで人気なのがトヨタ ヴォクシーや日産 セレナといったミドルサイズミニバンだ。かつてはそこにホンダ ステップワゴンも名を連ねていたが、現在は大きく販売台数を落としているという状況である。筆者個人の感想であるが、ステップワゴンはわくわくゲートなる新発想のリアドアなど使い勝手は随一と感じている。でも一体なぜこのような結果となっているのか? ライバルのヴォクシーやセレナと比較しつつ、実際に販売現場にも疑問をぶつけてみた。

ホンダ ステップワゴンスパーダ ハイブリッド

ステップワゴンの魅力はハイブリッドだけじゃない! 新発想のドア「わくわくゲート」などユーザーファーストな仕上がり

カスタムモデルのスパーダでも大人しいデザインであったために、ライバルにユーザーが流れてしまった。2018年のマイナーチェンジではフロントフェイスを大幅に変更するなどニーズに即した進化も

ホンダ 現行ステップワゴンがデビューしたのは2015年のこと。当初はハイブリッドモデルのラインアップはなく1.5リッターターボエンジンのみというホンダらしい走行性能を重視したモデルでもあった。ライバルのヴォクシーやセレナが軒並み2リッターエンジンを備えていた中、唯一1.5リッターエンジンの搭載とあって自動車税もライバルより安いなどメリットはたくさんあったのだ。

だが、時代はハイブリッド全盛でライバルが続々とハイブリッドモデルを追加。そしてステップワゴンも2018年のマイナーチェンジでハイブリッドを新設定するなど、時代のニーズにもキチンと答えている。

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わくわくゲートは使えば納得の便利な機能だった

家のドア感覚で使える新発想のドアとあって当初は注目度バツグンであった。ご覧の通り、全開にしてもスペースを要さないためにどんな場面でも気軽に使えるのだった

そして最大のポイントとなるわくわくゲートという新発想のドアも注目を集めた。これはリアハッチを通常の跳ね上げ式ドアの機能に併せて、家のドアのように扱える扉をリアハッチ左側に設置。狭い駐車場などで、片側だけ開けられるとあって、使い勝手はバツグン。そしてそこから乗り降りもできるなど、わくわくゲートの名に恥じないワクワクする仕掛けなのだ。

これを実際に使ってみると、超便利! 駐車場の枠ギリギリに止めた際に、狭いスペースでもわくわくゲートを全開にでき、荷物の載せ下ろしにも最適。そしてこどもだけでなく、大人もそこから乗り降りできるため、文字通り本当に楽しくなるドアなのだ。

とステップワゴンにはライバルにはない“ならではの機能”がてんこ盛りなのだった。

販売不調の原因はデザインの大人しさと“訴求が難しい”わくわくゲートにあり

だが、先にも述べた通り販売は今のところ奮っていない。一体ユーザーはステップワゴンをどのように受け止めているのか? 実際に都内近郊のホンダディーラーに問い合わせてみた。

すると「ステップワゴンの“ならではの機能”を訴求するのが難しい。ハイブリッドが追加されてから販売も増えてはいるが、依然として不調であるのはデザインに原因がある」と語る。

先にご紹介したわくわくゲートはカタログや今回のような記事において使い勝手を褒めているモノは数多く散見される。筆者もはじめはかなり懐疑的に受け止めており、実際に使うまでは「本当にいる機能?」とさえ思っていたほど。だからこそ、もっとわくわくゲートの魅力を訴求すべきと考えるのだ。

買った後に「こんな使い方ができる」というように実際に普段使用する荷物を例にとって試してもらうと「お客さんの感想が大きく異なる」という

先述のディーラーマンによれば「使い方のデモをお見せするより、お客さんに荷物の載せ下ろしなどを実際に体感してもらったほうがメリットをわかってもらえる傾向にある」と語るほど。コレに関しては是非ともディーラーで実車を交えて体感をしてほしいところだ。

意見が真っ二つに! メッキ加飾が少ないデザインが原因!?

そしてふたつめの要因であるデザイン。アルファードやヴォクシー、さらにはセレナなど現在の売れ筋ミニバンのデザインはどれもド派手そのもの! グリルにはギラギラとしたメッキを多用したモノが多いなか、ステップワゴンはカスタムモデルにあたるスパーダを選んだとしても大人しい印象である。もっともマイナーチェンジ前のモデルはもっと大人しかったが。

ド派手とまではいかないが、新型オデッセイにも通じる大きグリルや流れるウィンカーなど最新のトレンドアイテムを採用してはいるが、ユーザー的にももう少し押しの強いデザインを欲しているというワケだ。

これはホンダの他の車種にも当てはまり、その筆頭がフィットである。かつて同じように販売現場に状況を聞いた際にステップワゴンと同じ回答があった。それほど今は派手なデザインがトレンドなのである。

ただ、面白いのはステップワゴンユーザーによれば「他のクルマよりもメッキ加飾が少なく、おとなしいながらも個性的なデザインがいい」という意見もあり、ホンダとしても判断が難しいのかもしれない。

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燃費だってクラストップ! とにかく実車で確認を

今回はステップワゴンが置かれている状況を販売現場の意見を参考にしながら考察してきた。実際のところ、デザインの好みを除けばライバルに比べ大きく劣るところはなく、むしろ固有の特徴すら持っているほど。それだけに今ミドルサイズミニバンを考えている方は、実車でわくわくゲートを試してその便利さを体感してもらいたい。

そして走行性能に関しても、ハイブリッドモデルに関していえばアドバンテージも有している。ステップワゴン スパーダのハイブリッドは、日常のほとんどの場面で電気だけで走行できるシステムを採用しており、走行音も静かな上、燃費だって20km/L(WLTCモード)と、ライバルのセレナe-POWER(18km/L)、そしてヴォクシーハイブリッド(19km/L)に比べダントツの燃費性能を誇るのだった。それだけにステップワゴンも候補の一台として考えて欲しい。

【筆者:MOTA編集部 木村 剛大】

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