巨人ついに勝った!執念の鷹狩りで奥の手「原監督の厄払い」ひとまず〝封印〟

連敗ストップ!スモークを迎える原監督

ついに勝った! 巨人は30日のソフトバンク戦(ペイペイ)で執念の総力戦を繰り広げ、4―3で逃げ切り勝ち。同カード708日ぶりの勝利でオープン戦を含めた天敵相手の連敗をどうにか14で止めた。2年近くに及んだ屈辱がチームにもたらした「鷹アレルギー」も深刻だったが、その間に常勝を義務づけられた伝統球団のプライドはズタズタに引き裂かれ、球団内には〝末期的症状〟まではびこっていた。

優勝争いを演じるシーズン終盤さながらの緊迫感だった。5回2失点の力投で5勝目を挙げた戸郷は、プロ初となる中4日での先発登板。ブルペンでは28日のカード初戦に先発した畠が中1日で待機し、6人の救援陣がワンポイントや回またぎなどの起用に応え、絶対王者の反撃をどうにか1点で抑え込んだ。

試合後、原監督は「しっかり守ったね、みんなね。(戸郷は)頼もしく見えましたね」と投手陣の踏ん張りをたたえ、5回に決勝の14号ソロを放った岡本和を「ずいぶんストレスも溜まっていただろうし、そういう意味では、それがすべて出たんじゃないでしょうか」とねぎらった。

2019年6月23日から始まった暗黒の連敗街道。セ・リーグを2連覇しながら、日本シリーズでは2年連続で4連敗の返り討ち…。ソフトバンクが投打で誇る圧倒的なパワーの前に、やることなすことが粉砕され、2年近く屈辱に耐え忍び続けるハメとなった。

チーム内に根づいたアレルギーは深刻さを増し、29日には元木ヘッドも「先制して追いつかれたら(雰囲気が)重くなるね。『もう一回取り直そう』というよりも『また追いつかれた』という気持ちの方が多いのかな」と頭を抱え、自身の経験を踏まえた打開策も「思いつくなら(既に)やっているよ」と万策尽きた感までにじませていた。

もちろん策は講じてきたが、大連敗中の球団内にはアレルギーや恐怖症を超えた屈服ムードすら漂っていた。この2年の間には球団関係者の間から「何をやっても上回ってくる。もう勝てるイメージが湧いてこない…」などの弱気な発言も相次いだ。

ついにはワラをもすがる思いで「もう監督のあのおまじないぐらいしか打つ手はないんじゃないか?」と神頼み状態にまで陥った。この「おまじない」とは原監督が2次政権下でナインに推奨した独特な〝厄払い〟。不振や不調に陥った際に芽生えるネガティブな思考をかき消すことが目的で、まずは「ナシ! ナシ!」と自らに言い聞かせるように言葉を発する。両肩にまとわりつく〝邪気〟を手で振り払い、それぞれの肩に「フーッ」と息を吹きかけるものだった。効果のほどは定かではなかったというが、それほど鷹の猛威に背広組までもが追い詰められていたわけだ。

そんな末期的な状況下で総力を結集してもぎ取った価値ある「1勝」。返すべき借りはまだまだ残されているが、負の連鎖にはひとまず終止符を打った。「少し苦手意識的なものは払しょくできればね」(原監督)。2年ぶりに成し遂げた〝鷹狩り〟をバネに上昇気流に乗っていけるか――。

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