5月31日は世界禁煙デー~コロナ時代こそ考える禁煙~

毎年5月31日は世界禁煙デーです。
世界禁煙デーは、「たばこを吸わないことが一般的な社会習慣となるよう様々な対策を講ずるべきである」という世界保健機関(WHO)の決議により定められており、喫煙者に対して喫煙を控えるように呼びかけるとともに、各国政府、自治体、団体、個人に対してたばこと健康問題の認識について正しく理解を深めて、対策を求める日とされています。

2021年のテーマは「禁煙に取り組もう(Commit to quit)」

世界禁煙デーには、毎年WHOより異なるスローガンが掲げられており、今年(2021年)のテーマは「禁煙に取り組もう(Commit to quit)」です。
WHOの特設サイトでは、以下の3つのトピックについても取り上げられています。

① たばこをやめる100の理由(喫煙者が新型コロナウイルスに感染した場合は重症化および死亡リスクが高まる等)
② 禁煙の健康上のメリット(禁煙後20分以内に心拍数と血圧が低下する等)
③ 禁煙ツール(喫煙への欲求に対する簡易的な対処法等)

コロナ時代に向き合うたばこ

日本では、世界禁煙デーに合わせて毎年5月31日から6月6日までを禁煙について考える機会とし、厚生労働省が「禁煙週間」と定めています。
新型コロナウイルスが蔓延しているなか、重症化予防のためにもたばこと健康問題への理解を深め、禁煙について考えることが重要です。
そこで、この期間にたばこが体にどのように影響を及ぼしているのかについて、もう一度おさらいしてみましょう。
たばこの煙には200種類以上もの有害物質が含まれており、そのうちの70種類以上は発がん性物質です。
喫煙はがんだけでなく、脳卒中や虚血性心疾患などの循環器疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患、生活習慣病、妊娠周産期の異常(早産、低出生体重児、乳児死亡など)などさまざまな病気の原因になります。
喫煙による病気のリスク(男性)は喉頭がんで5.5倍、肺がんで4.8倍、心筋梗塞で3.6倍、2型糖尿病で1.4倍(男女)です。
また、日本禁煙学会では生涯喫煙していない人とくらべて、現在および過去喫煙者は新型コロナ感染によりICU治療、人口呼吸治療、死亡のリスクが1.5倍から2倍高まるというデータが示しています。
重症化リスクが若年者に有意に高かったという報告もあると発表もされています。

禁煙はいつ始めても遅くない

禁煙は早いほど効果的であり、いくつになっても遅すぎるということはありません。
35~40歳までに禁煙すればもともと喫煙しなかった人と同じ余命を取り戻すこができます。
また、50歳で禁煙すると6年の余命を延ばすことができるといわれています。
禁煙するかどうか迷っている人は禁煙外来や禁煙治療薬などを上手に活用しながら、この機会に禁煙に挑戦してみてはいかがでしょうか。

<参考>
・ 日本医師会「たばこの健康被害」
・ WHO「World No Tobacco Day 2021」
・ 日本禁煙学会「新型コロナウイルス感染症とタバコ」(2020年11月)

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