12歳の少年の運命は?ダークな心理サスペンス『僕が死んだあの森』

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今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『僕が死んだあの森』

作者は『その女アレックス』『監禁面接』などで知られる世界的な人気作家、ピエール・ルメートル。罪を犯した12歳の少年の心理を冷徹に描き切った傑作サスペンス、新刊です。

僕が死んだあの森
著者:ピエール・ルメートル/翻訳:橘明美
出版社:文藝春秋

物語の舞台は森に囲まれた小さな村。1999年12月末、6歳の男の子が突然姿を消し、村じゅうが大騒ぎとなります。失踪事件の渦中にいたのが、男の子の隣家に母親と暮らす12歳の少年アントワーヌでした。孤独だけれど平凡な毎日を送っていたアントワーヌの運命は、この日を境に激変します。絶望、後悔、恐怖、あきらめ、希望。めまぐるしく変化する少年の心情を著者は冷徹に描き出します。

犯罪は暴かれるのか。それとも……。いったん読み始めたら、ほかのことはなんにも手につかなくなる。アントワーヌの迷宮のような心の中に入り込んで出られないのです。主な登場人物が彼の一風変わった母親や対立する両隣の家族と少ないためか、村人たちの閉ざされた世界がより息苦しく感じられます。

サスペンスフルな物語のなかで、とくに強い印象を残すのが、悲劇の舞台となった森。アントワーヌの運命も恐怖に震える心もつねに森とともにある。どんなに時が経っても彼は森を彷徨い続けなければならない。物語の主人公は森そのものなのかもしれません。森の気配を感じつつダークな物語に浸ってください。

ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ

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