会期末(6月16日)が近づく国会で、菅義偉首相(衆院神奈川2区)への逆風が強まっている。
新型コロナウイルス感染拡大が続く中で東京五輪・パラリンピック開催準備を進める姿勢を「ダブルスタンダード」と批判する野党は、内閣不信任決議案の提出に傾く。
会期末が緊急事態宣言期間のさなかという日程となったことが背景だ。
「宣言は6月20日まで延長」との見通しが強まった先週末、野党からは不信任提出への強気な発言が相次いだ。
これまでは決議案が解散・総選挙を招けば「コロナ禍に不謹慎」とのブーメランが野党をも襲う懸念があった。しかし、宣言が会期末をまたぐ見通しとなったことで雰囲気が変わってきたという。
立憲民主党の泉健太政調会長が5月27日の会見で語った内容が野党の狙いを如実に示す。いわく「内閣不信任案は菅内閣を信任できないことを問う。退陣を求めるのが基本的な考え方」。その上で「緊急事態宣言下で解散・総選挙の判断をするなら国民を無視していることだ」と結ぶ。
「宣言下では総辞職は選択できても総選挙は無理」(立民幹部)との瀬踏みである。
重要土地利用規制法を巡り、国民民主党が賛成に回るなど共闘は難航。野党サイドとしては調整の時間はもっとほしい。「けじめの不信任案を出しても解散にはなるまい」(同)との皮算用である。