竹島 宏 デビュー20周年を迎えて目指すは”誠の花” 話題の花言葉ツイートは「恋人に花を贈る感覚」

デビュー20周年を迎える竹島 宏が、6月2日に新曲『向かい風 純情』をリリースする。松井 五郎作詞・都志見 隆作曲で連続6枚目となり、NHK BS時代劇「大富豪同心2」の主題歌でもある今作への思いやレコーディング時のエピソード、20周年を経て抱く今後の歌手人生への思いを聞いた。

――2017年の『月枕』から6作品連続で松井 五郎先生と都志見 隆先生コンビの楽曲が続いていますね。

「僕は相性がいいと思っているのですが、先生たちはどうなのかな?(笑) 僕は歌手として死ぬまで歌いたいと思っているのですが、その歌手人生の中で先生方の作品を続けて歌わせていただいているというのは巡りあわせだと思います。将来振り返った時に、すごく大切な時間だったと思えるんじゃないかと思いますね」

――今年1月にYouTubeで公開された松井先生と都志見先生との対談動画の中で、竹島さんは「お二人にはレコーディングのたびに何かを教わっています」というコメントを述べられています。どんなことを教わってこられましたか?

「僕は歌手なのに、いつも自分の歌に不安を抱えながらレコーディングに臨むタイプなので、必ず作家の先生に事前にアドバイスをいただくようにしています。ところがお二人は、それがないんです。事前のアドバイスはなしで、これまでもほぼぶっつけ本番でレコーディングに臨むような形でした。レコーディングする中で何かしらのアドバイスはいただくのですが、直接的なことはあまりおっしゃらないんです。『こういう表現もあるんじゃない?』といったご意見をいただいて、どちらも歌ってみて相談しながらレコーディングが進んでいく感じです。ある意味で常に迷いながらのレコーディングですが、どうしていいかわからないという迷いではなく、より良い表現を探しながらのレコーディングですね」

――先生方のアドバイスで印象に残っていることは?

「実は先生方のアドバイスは、家に帰ってから『今日、先生達はこんなことをおっしゃっていたけど、こういうことだったのかな』と、後からジンワリくることが多いんです。でも、その気づきが僕の中で大きいですね。
中でも『歌詞の解釈は何通りもあるから、その時の気分次第で変わっていいし、変えていくべきなんだ』というお話は印象に残っています。『恋の歌でも男性と女性のどちらが年上か、過去にどんな経験をしてきたかによって、相手とのつきあい方が変わってくる。そうすると歌詞の一行、一文字の意味が違ってくるから、歌い手の声の使い方、アクセントの置き方とか、表現が変わってくるよね』というお話をしていただいたのですが、レコーディングが終わってしばらくして、ステージで歌っている時にこの言葉の意味に気づいたんです。聴いてくださっているお客様の気持ちがステージに伝わってきて、お客様との気持ちの交流があって歌が完成する。そういうことを松井先生と都志見先生は教えてくださっているのではないかと気づいたんです。同じことを言われても、20~30代前半の頃の僕では気がつけなかったと思います。
これは配信のライブなどでも言えることで、たとえ無観客で歌っていたとしても、そこに見えない交流があることを信じながら歌わせてもらっています。その時々で同じ歌でも表現が違っていたりするので、いろいろなステージで聴き比べてほしいですね(笑)」

――新曲『向かい風 純情』はNHK BS時代劇「大富豪同心2」のテーマソングです。前作の主題歌『夢の振り子』に続いての起用ですね。

「当初は引き続き『夢の振り子』を使うという案もあったのですが、先生方がせっかくだから作ろうということで生まれたのが『向かい風 純情』です。ドラマの主人公の卯之吉さんを助ける人々の背中を押せるような作品、今いろんなことと戦っている皆さんの後押しができるようなエールを送れる作品だと思います。
今回は、ドラマの前作を観た上でのレコーディングなので、主人公の物語に寄り添うような歌い方ができたのは大きいですね。これからの卯之吉さんの成長を後押しするために、僕なりにどんなメッセージを込めたらいいだろうと、考えながら歌えたのがよかったと思います」

――初めて曲を聴いた時の第一印象はいかがでしたか?

「最初はもっとテンポが速かったんです。都志見先生の中にはロックに近い歌謡曲のようなイメージがあったんじゃないかな。少しテンポをゆるめて歌わせていただいたんですが、珍しく歌いやすいです(笑)。ようやく都志見先生のメロディラインのツボがわかってきた気がしました。
ところが、実際にレコーディングをしてみたら、僕自身がなんか納得できないんですよ。先生方にもスタッフ、関係者の皆さんにも『いいね!』と言っていただけたんですが、なんかちょっと違うなと。最終的に自分の中で出た結論は、アップテンポな歌なのでノリすぎていた。ノッてる中でも気持ちや言葉のメッセージを強く伝えるというところを意識して歌い直させていただきました。先生方は『これで決まりだね』とおっしゃって、関係者の皆さんと打ち合わせで別室に移られたのですが、そこで僕がこっそり『もう一回歌っていいですか?』(笑)。その最後に歌ったものが採用されました。僕の中では、歌詞もメロディもサウンド感もビート感も、すべてがようやく腹に落とし込めた気がします。魂が宿った感じになりましたね」

――竹島さんのドラマへの出演はないのでしょうか?

「そうですね、いつか挑戦してみたい思いもあります。以前、ドラマのプロデューサーさんとお話する機会をいただいたのですが、勉強になるお話をうかがいました。『歌手の方は、お芝居ができるんですよ。セリフを音で覚えて感情表現ができるんです』とおっしゃって、『なるほど!』と思いました。『加えて、歌手は歌で身につけたリズム感で相手との掛け合いの調整ができる。それは逆にも言えることで、役者さんは歌を歌える。セリフに込める感情を音で表現をしていくことによって、自分の歌に表情をつけることでより立体的な表現ができるんじゃないかな』と言われて、ハッとしました。歌手としては無意識にやっていたことだったのですが、同じことが『向かい風 純情』のレコーディングの時にもあったんだと思います。リズムも発声もおかしくない、でも何かが足りないとなった時に、最後に自分なりにイメージした歌を表現することが重要なんだと強く思いました」

――第3シーズンが作られる際には、竹島さんのご出演に期待ですね。ちなみに、前作の主題歌に『夢の振り子』が起用された時に反響はいかがでしたか?

「けっこうビックリするくらい良い反響をいただきました。僕の歌は静かに聴いていただく曲が多いのですが、ライブで『夢の振り子』を歌ったら、番組で役者の皆さんがやっている踊りをお客様が踊り始めたんです。普段はあまりお見かけしない年配の男性もおられて、『時代劇ファンの方なのかな』と思いました。時代劇ファンの方で、番組を観て僕を知ってくれた方も多かったみたいです。そういった方も含めて、早くライブで踊れる日が来てほしいですね」

――夏には「20周年記念コンサート“風にのって”」が控えていますね。

「僕たちはこれまで、感染対策を徹底し、クラスターを出さないように努力しながらイベントを開催してきました。ファンの中には、『私は人の集まるところで働いているので今回は欠席します』というお手紙をくださる方もいらっしゃいました。一人でも多くのファンの方々に喜んでいただくために、公演を収録して配信することも行ってきましたが、そうした中で強く思うのは、僕の歌を求めてくださる方がいることです。
ご高齢の方で、僕の歌を聴くのが楽しみで病気と闘っていますという声をうかがうと、非常にありがたいのと同時に、歌うことへの責任を強く感じます。お医者様のご許可を得て病院を抜け出してきたという方もおられましたし、皆さん命がけで僕の歌を聴きに来てくださるんです。だから僕はいつも、100%の状態で歌い続けなければいけないと思っています。
今回のコロナ禍では、いろんなことに気づかされ、考えさせられました。そうしたことを踏まえて、今後のイベントには臨んでいきたいですね」

――デビュー20周年を迎える竹島さんですが、次の20年の目標は?

「世阿弥の言葉で『時分の花より誠の花』というのがありますが、この『誠の花』を咲かせる努力をしていきたいですね。デビューしてすぐの頃はハツラツとした魅力、勢いがありましたが、いずれは過ぎ去っていきます。これからは、自分が歌手として誠の花を咲かせるためにやらなくてはいけないことを、この20周年を節目に勉強していきたいと思います。素晴らしい先輩方がたくさんおられますが、そうした方々に負けない自分だけの花を咲かせることが目標です。マニュアルのない道ですが、誠の花へ繋がる自分だけの道をしっかり歩いていきたいですね」

――花といえば、ツイッターで花と花言葉をアップしていますね。

「最初に緊急事態宣言が発出された時は、街が静まりかえって先行きがとても暗い感じでした。ファンからいただくメールやお手紙も不安を感じておられるものが多かったので、なんとか皆さんに癒しの時間を持っていただくようなことはできないかと考えて、自分が届けたい花言葉と花の写真をプレゼントしようと考えました。実は緊急事態宣言が終わったらやめようと思っていたのですが、『竹島さんの花言葉を見て1日を終えるのを楽しみにしています』というメールをいただいて、これはやめるわけにはいかないと(笑)。

“ピンクッション”

南アフリカの燦々とした太陽の下

で育つ花

皆さんの心のパワーチャージに

なりますように。 pic.twitter.com/AMDDHPd4zQ

— 竹島宏スタッフ【公式】 (@takeshima_staff) March 28, 2020

でも続けていくうちに、自分でも楽しいと思い始めたんですこれまで花をいただくことはあったのですが、自分がプレゼントすることはなかったんですよ。最初は皆さんを励ますつもりだったのに、最近は恋人に花を贈る感覚になっているので、このまま続けようと思っています」

竹島 宏『向かい風 純情』

発売日:2021年6月2日
品番:Aタイプ/TECA-21025 Bタイプ/TECA-21026
価格:各1,350円(税込)
発売元:テイチクレコード

Aタイプ

【収録曲】

1. 向かい風 純情(作詞:松井 五郎/作・編曲:都志見 隆)
2. あなたと泣きたいから(作詞:松井 五郎/作・編曲:都志見 隆)
3. 向かい風 純情(オリジナル・カラオケ)
4. あなたと泣きたいから(オリジナル・カラオケ)

Bタイプ

【収録曲】

1. 向かい風 純情(作詞:松井 五郎/作・編曲:都志見 隆)
2. どうせ恋なんか(作詞:松井 五郎/作・編曲:都志見 隆)
3. 向かい風 純情(オリジナル・カラオケ)
4. どうせ恋なんか(オリジナル・カラオケ)

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