菅野、坂本不在でも底力見せる原巨人 意外?パ球団が警戒する「2人の男」

ともにリリーフでチームに貢献している巨人・戸根(上)と大江

パ・リーグ攻略のカギを握るのは〝伏兵左腕〟かもしれない。巨人はエースの菅野や主将の坂本を欠く中、交流戦2カードを終えて3勝3敗。5月30日には708日ぶりとなるソフトバンク戦での勝利を挙げた。リーグ3連覇&日本一奪回は交流戦をどう乗り切るかによって左右されるといっても過言ではなく、対戦するパ球団関係者からは意外な人物がキーマンになるのではないかと見られている。

セ・リーグ3連覇に向けて第1関門となる交流戦は、ここまでパ2位の楽天、同首位のソフトバンクと戦って勝率5割。エースの菅野や主将の坂本、梶谷などの主力選手が離脱する中でなんとか持ちこたえられているのは、原監督ら首脳陣のやり繰りによるところが大きいと言える。ただ、対戦するパ球団側は巨人に対し〝与しやすし〟とは思っておらず、むしろ警戒を強めているという。

あるパ球団関係者は交流戦開幕前に「確かに菅野や坂本の穴は大きい」としながらも「あまりスポットが当たらない救援陣の左腕は、厄介な相手になるかもしれない」と警戒感をあらわにしていた。その〝厄介な相手〟こそ変則左腕の戸根千明(28)と大江竜聖(22)だ。

「戸根は直球に球威もあって、どちらかというとパ・リーグ向きのパワーピッチャー。開幕直後はファームでもいい投球をしていると話題になりましたし、何より昨年のデータがほぼない。無警戒でいるチームには間違いなく通用しますよ」と前出関係者。また、別の関係者は「大江は要注意。去年よりも奪三振率が高いですし、安定感も出てきましたよね。まだ若くて伸びしろも大きいですし、勢いもある。それでいてあの変則投げですから、簡単には手が出しにくいのでは」と評価している。

確かに大江は今年の交流戦4試合に登板して無失点。奪三振率も前年の7・17から7・53に上げている。戸根も28日のソフトバンク戦で回またぎの2回1/3を投げて3奪三振の無失点と好救援を見せた。大江はワンポイントから僅差での登板、戸根はロングリリーフもこなせることから起用の幅は広い。6月1日から始まる西武戦では2番に座る森、4日からの日本ハム戦では4番の近藤、5番の王柏融と、長打力もある左の好打者をいかに抑えるかが鍵になる。戸根は防御率3・72、大江は同3・14とずば抜けているわけではないが、数字以上に対戦相手は嫌がっているというわけだ。

投打の主軸を欠く巨人は30日のソフトバンク戦に7投手をつぎ込んだように総力戦で窮地を乗り切ろうとしている。現状はブルペンでのポジションが確立されていない戸根と大江だが、縁の下の力持ちとして交流戦攻略の立役者となっても不思議ではない。

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