大坂なおみが“うつ病”明かす 7月東京五輪出場に黄色信号「少しの間、コートを離れる」

しばらく静養する大阪なおみ(ロイター)

【フランス・パリ31日(日本時間1日)発】女子テニス世界ランキング2位の大坂なおみ(23=日清食品)が現在参戦中の4大大会、全仏オープンのシングルス2回戦を棄権することを表明し、大会を主催するフランス連盟も正式に発表した。今大会前から「心の健康」を理由に試合後の記者会見のボイコットを表明して騒動となっていたが、今回更新した自身のツイッターでは「うつ病」に悩まされていたことも告白。しばらくの間、ツアーから離れることも明かしたため、今後控えるグランドスラムや東京五輪の出場にも大きく影響が及びそうだ。

会見ボイコットというテニス界にとって大きな問題提起をしていた大坂は突如、自身のツイッターで幕引きを図った。

「皆さん、これは私が数日前に投稿した時には想像もしていなかった状況です」と投稿。続けて「トーナメントや他の選手、そして私自身にとっても、今は私が撤退してみんながパリで行われているテニスに集中できるようにするのが一番だと思っています」とつづり、大会を棄権することを表明した。

その上で「実際、私は2018年の全米オープン以降、長い間うつ病に悩まされ、その対処に本当に苦労してきました。私は人前で話すのが得意ではなく、世界中のメディアに向かって話す前に大きな不安に襲われて緊張してしまいます。このパリの地で、すでに私は弱気になっており、不安を感じていたので自己管理をして記者会見を欠席したほうがよいと考えました」と自身の“心の病”と会見拒否の理由についても説明。また、大会主催者に謝罪の手紙を書いたことも明かした。

最後にファンらに向けて「皆さんが元気で安全に過ごすことを願っています。皆さん、愛しています。また会いましょう」とメッセージを記した。

大坂は大会前の5月27日に自身のツイッターで「アスリートの心の健康状態が無視されていると感じていた。自分を疑うような人の前には出たくない」と訴え、試合後の記者会見に応じない意向を表明。フランス連盟のモレトン会長が「大いなる過ち」と批判し、選手や関係者、ファンから賛否両論が寄せられていた。30日の1回戦勝利後はコート上でのインタビューには応じたものの、会見には予告通り出席しなかった。

主催者側は罰金1万5000ドル(約165万円)を科し、今後も違反が続けば大会の失格や他の4大大会の出場停止の可能性を通告。これに対し、大坂は「怒りは理解の欠如。変化は人々を不快にさせる」と反論し、インスタグラムには伝説的なラッパー「Juice Wrld」のアルバムジャケット「good bye&Good RIDDANCE」の画像を投稿。「さよなら。これでせいせいする」という意味のタイトルだっただけに、心配の声も上がっていた。

18年全米OPの優勝以来、世界のトップランカーとして君臨していた大坂は、心の病を抱えながら苦しい日々を送ってきた。「少しの間、コートを離れる」とも表明したことで、ウィンブルドン選手権だけでなく、7月開幕の東京五輪への出場も危ぶまれる。だがそれはあくまで目先の話。まずはメンタルケアに専念し、完全復活する姿を待ちたいところだ。

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