“五輪の歴史を変えた男”山根明氏が小池都知事に喝!「何のためにそのの立場にいるのか」

小池都知事にゲキを飛ばした山根氏

日本ボクシング連盟前会長の“男・山根”こと山根明氏(81)が、東京都知事の小池百合子氏(68)にIOC(国際オリンピック委員会)とのタイマン勝負を要求! 緊急事態宣言が延長され、世界中から東京五輪開催を懸念されてもIOCはどこ吹く風。開催を強行するつもりだ。そんな状況を山根氏が一喝。政治が責任をもってIOCに意見すべしと提言し、小池都知事をIOCへの“刺客”に指名した。

東京五輪開催については海外のメディア・専門家から次々と疑問の声が上がり、日本も国民の約7割が開催に反対し、開催中止の署名活動が行われている。さらに東京五輪オフィシャルパートナーの朝日新聞までも社説で中止を求めるほどの状況になっている。

そんなこともあって、山根氏は「今は世界中でコロナが蔓延している。五輪というのは開催国があり、その国民がいてこそ。開催でコロナが広がるようならやめてもらいたい。五輪は世界平和のためにあるもので、関係者が犠牲を負うものではないし、一般の人が命を懸けてまで応援するものでもない」と話す。開催は中止するべきとの考えだ。

しかし、IOCはお構いなし。“ぼったくり男爵”ことトーマス・バッハ会長が「五輪の実現のために、犠牲を払わなければならない」と発言すれば、ジョン・コーツ調整委員長は、東京に緊急事態宣言が発令されていても開催するかを問われ「もちろんイエスだ」と答える。
元副会長でIOC最古参委員のディック・パウンド氏に至っては「中止の選択肢は事実上すでに排除されている。東京五輪を止めることができるのはアルマゲドン(人類滅亡)だけだ」。東京五輪開催へ、まっしぐらと言っていい。

この自分たちのことしか考えないIOCの発言には、山根氏も激高するしかない。「バッハやコーツは上から目線でしゃべって、日本国をなめている。感染が悪化した場合の責任は取るのか。表現を濁してひきょうだ。日本国を軽く見るな!」

まさに怒り心頭。何としても五輪を開催しようとするIOCの方針には一定の理解を示す山根氏も、ここまで一方的に暴論を展開されるのは許せないということか。

そして、言われっぱなしにはしておけないのが“男・山根”の流儀でもある。誰かがIOCと正対し、クギを刺す必要がある。山根氏は、開催するための組織である五輪組織委員会ではなく、五輪開催地の長である小池都知事がその役目を果たすべきだと考える。

「小池さんやろうな。日本人は世界に行くと弱いけど、人のために命をかけて真実を言わないといけない時はある。何のために責任者の立場に就いているのか。イエス、ノーをはっきりせずに、どっちに取られてもいいような言葉は指導者には使ってほしくないし、責任を取れないというのならその地位を去るべきだ」(山根氏)

開催契約を解除し、開催を中止する権利はIOCにあるものの、開催地の長として小池都知事はIOCにモノを言える立場にある。今こそ、その職務を全うせよということだろう。

中止を申し出れば巨額の賠償金を請求される恐れもあり、日本側は政府も含めてIOCに対して声を上げていない。山根氏のハッパを小池都知事はどう聞く――。

◆故サマランチ元会長ともバトル 山根氏自身も五輪の舞台で“権力”と闘ってきた歴史がある。

日本ボクシング連盟会長就任後の2012年ロンドン五輪では村田諒太が金メダル、清水聡が銅メダルを獲得。しかし、清水のメダル獲得をめぐってはひと悶着あった。清水は2回戦で不可解な判定負けを喫した。これに山根氏は日本ボクシング連盟会長として猛然と抗議。何と勝ちにひっくり返してみせたのだ。「抗議して判定を覆らせたんや。柔道でも判定を覆させられへんかった五輪の歴史を変えたんや」(山根氏)

さらにIOC第7代会長を務めた故フアン・アントニオ・サマランチ氏に対しても一歩も引かなかったという。「サマランチ会長の娘のことで口論したんやけど、その後に仲直りしたよ」と、五輪にまつわる武勇伝に事欠かない。

© 株式会社東京スポーツ新聞社