矢野阪神で熱を帯びる“エースランナー”探し 迫る鷹3連戦「対・甲斐キヤノン」で品定め!

左から阪神・熊谷、江越、植田

虎の〝必殺仕事人〟は誰だ。1日のオリックス戦(甲子園)に2―5で敗れた阪神では、攻撃における終盤の「切り札」探しが熱を帯びている。矢野燿大監督(52)が目下、見定めているのが、接戦の終盤で敵の警戒をかいくぐり、自らの脚で次の塁へと百発百中で盗塁を成功させられる代走のスペシャリスト。来るリーグ戦再開へむけ、終盤の〝エースランナー〟を選定中だ。

エース・西勇の7回2失点の粘投も、後を受けた2番手・岩崎が8回に失策絡みの3失点を喫し、オリックスとの関西ダービー初戦を落とした矢野監督は「今日のも打たれたって感じのものじゃない。引きずるモノじゃない」と気丈に振り返った。

これで交流戦は3勝4敗と負けが先行する形となったが、トータルではまだ貯金15。同一カード3連敗以上のことがない限りは大勢に影響しないのが今の矢野阪神だ。そこで考えるべきは先々へむけての態勢整備。そのひとつがパ球団との戦いで役どころが定まりつつある終盤の代走だ。

現在、一軍ベンチ入りメンバーで終盤の代走は熊谷敬宥内野手(25)、江越大賀外野手(28)、植田海内野手(25)らが主に起用されているが、この3人ですでに12盗塁。盗塁成功率は江越が5度盗塁企図で、4度成功。同じく熊谷は5回企図して5度、植田3回企図し3度の成功率100%と首位チームにふさわしくハイレベルだ。

もちろん、切り札になるカードを多く持つことは理想ではある。だが、この持ち場をこなす選手は内外野でどのポジションで守備固めをこなせるかなど、チーム事情が絡むことも多い。ライバル球団のセ関係者も「代走メーンで3人は少し多い」と「走力」だけで生き抜くのであれば、代走におけるチーム内競争で頭ひとつ抜けておく必要もありそうだ。

理想はやはり最終回に投げる守護神同様の存在として、絶対的な1人になることだという。

「例えるのならひとりで試合を動かせる選手。同点、または1点差負けの9回に二死一塁から代走に出て、二塁に走って、ヒット一本で生還できるね。巨人が3連覇(12~14年)したころの鈴木尚広みたいなね。相手は四球ひとつも下手に出せないプレッシャーを受けるわけだし、打者への配球だって変わる。当時は鈴木が出てきただけで、球場の雰囲気も変わってたからね」(前出関係者)

今週末には3年連続日本一・ソフトバンクとの3連戦があり、リーグナンバーワンの4割2分9厘の盗塁阻止率を誇る甲斐拓也(28)の強肩&防御網を猛虎の走り屋たちがいかにかいくぐるかも、腕ならぬ〝脚〟の見せどころ。延長ナシの9回終了制の今季、1点勝負の攻防ではさらに有効なカードにもなり得る。猛虎にも土壇場に控える〝ジョーカー〟が確率されることになれば「負け試合」がひっくり返る確率もさらに高まることになりそうだ。

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