セ最下位“独走”も交流戦では2位浮上 DeNAが強力パ球団と互角以上に戦える理由とは?

DeNA・三浦大輔監督【写真:小谷真弥】

打線が好調、交流戦7試合中4試合が2桁安打

■DeNA 4ー3 ソフトバンク(1日・横浜)

セ・リーグ最下位を“独走”するDeNAが1日、本拠地・横浜スタジアムで行われたソフトバンク戦に4-3で逆転勝ちした。3・4月は6勝21敗4分(勝率.222)の無残なスタートとなったが、5月は9勝10敗3分(同.474)と健闘。6月最初の試合でも劇的な勝利を収め、交流戦は4勝2敗1分で首位・中日に1ゲーム差の単独2位に浮上した。

薄氷を踏むような勝利ではあった。1点リードの9回、守護神・三嶋が2死から牧原大に四球を与えると、代走として昨季50盗塁でタイトルに輝いた周東が登場。三嶋は続く代打・明石のカウントを0-1とした後、一塁への牽制球が悪送球となった。しかし、一気に二塁を蹴り三塁を狙った周東を、バックアップした二塁手・牧が好送球で刺し、急転直下のゲームセット。三浦大輔監督は「最後にミスが出て課題が残ったが勝ててよかった。これを一戦一戦続けていくだけです」と相好を崩した。

2点を追う8回の攻撃では1死一、二塁の好機に宮崎が左翼フェンス直撃の適時二塁打を放ち1点差。ソトの敬遠で1死満塁とすると、ドラフト2位ルーキーの牧がこの日4安打目となる中堅フェンス直撃の逆転2点二塁打を浴びせた。

コロナ禍で来日が遅れたオースティン、ソトの両外国人は4月13日に1軍合流し、徐々に状態を上げるに従い、打線全体に流れが生まれた。この日も10安打を放ち、交流戦7試合中4試合が2桁安打。王者・ソフトバンクも顔負けの打棒を振るっている。本拠地が両翼94メートル、中堅118メートルと狭いこともあるが、打線の破壊力で勝負するDeNA野球のイメージはむしろパ球団に近く、交流戦では水を得た魚のように見える。

救援投手陣も奮闘、5回から8回まで3投手がパーフェクト投球

特にオースティンのハッスルぶりは出色だ。破格の長打力を見せつけるだけでなく、守備でもフェンス激突、ダイビングキャッチを連発。この日は6回2死から遊ゴロを放つも、ヘルメットを飛ばしての激走で内野安打に変え、続く宮崎の初球には来日2年目で初盗塁となる二盗にも成功した。ここは得点に結びつかなかったが、チームを鼓舞するのに十分だった。

リリーフ投手陣も奮闘した。先発のピープルズが4回までに91球も投げて3失点で降板後、5回は平田、6回と7回は国吉、8回は三上がいずれもパーフェクトに抑え、逆転劇をお膳立て。三浦監督も「リリーフ投手陣が流れを相手に渡さず、しっかり引き留めてくれた」と勝因に挙げた。

山崎がリーグ2位の26試合に登板しているのを筆頭に、砂田が25試合、石田が24試合、三嶋が22試合、1軍合流が4月20日にずれ込んだエスコバーも既に18試合と登板過多気味だけに、この日快投を演じた3人が好調をキープすれば、負担を分散することができる。先発陣は相変わらず手薄だが、リリーフ陣の量と質でカバーすることが可能になりそうだ。

セ・リーグでは依然、首位・阪神に15ゲームの大差、5位・広島にさえ4.5ゲーム差をつけられ最下位を潜行しているDeNAだが、まだまだ諦めるには早い。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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