つみたてNISAやiDeCoの「次」へ、どのような投資が考えられる?

将来に備えて資産運用をスタートする方が増えています。楽天証券では証券口座数が約5か月で100万口座増加し600万口座に到達。SBIネオモバイル証券・LINE証券はサービス開始から約1年半でともに50万口座突破。他のネット証券やスマホ証券でも、口座開設が相次いでいます。すでに、つみたてNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)をはじめた人もいるでしょう。

しかし、「それでもまだ余裕があって投資をしたい」という場合、何に投資をすればいいのでしょうか。今回は、つみたてNISA・iDeCoの「次」の投資を考えていきます。


まず、つみたてNISA・iDeCoは上限金額いっぱいやろう

具体的な投資の説明をする前に、ひとつ確認してほしいことがあります。それは、「つみたてNISAとiDeCoは上限まで利用しているか」です。つみたてNISAもiDeCoも、長期・積立・分散投資ができるうえ、他にはない非課税のメリットが生かせる制度。堅実にお金を増やすなら必ず使っていただきたい制度です。

つみたてNISAは毎月約3.3万円(年40万円)、iDeCoは毎月2.3万円(年27.6万円・企業年金のない会社員の場合)まで投資できます。もしこの上限金額まで投資していないのであれば、まずは上限いっぱいまで投資することを優先してください。他の投資をするのは、そのあとで十分です。

つみたてNISA・iDeCoの次の投資5選

つみたてNISA・iDeCoを上限金額まで投資したら、他の投資をスタートさせましょう。具体的には、次のようなものがあります。

(1)米国株・米国ETF

世界経済の中心は、やはりアメリカです。「GAFAM」と呼ばれるグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフトはもはや説明不要、世界に名だたる大企業です。また、コカ・コーラやウォルト・ディズニー、スターバックスなど、私たちの身近な会社もたくさんあります。しかも、これらの会社は今でも成長を続けています。実際、ダウ平均株価やS&P500といった、米国株式市場の指標は総じて右肩上がりで成長を続けています。
米国株を買えば、これらの成長の力を借りてお金を増やせるというわけです。

また、最近話題のFIRE(経済的な自立と早期リタイア)を目指す人は、不労所得を得るために高配当株(配当金の高い銘柄)・連続増配株(配当金を毎年増やしている銘柄)を買っています。ここでも注目は米国株です。というのも、米国株のなかには、日本株よりも高配当の銘柄、連続増配を行う銘柄があるからです。なかには、60年以上増配している企業もあるほどです。

こうした、配当金を毎年増やす銘柄を持っておけば、お金も堅実に増やせる期待ができます。

また、個別株はリスクが高くて怖いという方は、米国の高配当株に投資するETF(上場投資信託)を買うのもひとつの方法です。

たとえば

・バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)
・iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF(HDV)
・S&P500高配当株式ETF(SPYD)

などのETFを1本買えば、数十~数百の米国の高配当株に一度に投資するのと同様の効果が得られます。

SBI証券・楽天証券・マネックス証券といったネット証券では、3000銘柄以上の米国株・300銘柄以上のETFに投資ができます。特にSBI証券では、米国株・米国ETFの自動積立サービスも利用できます。

また、スマホ証券のひとつ、PayPay証券では、有名企業の米国株を今の株価にかかわらず1000円から購入可能。定期的に購入できる自動積立サービスも用意されています。

(2)純金積立・金ETF

金は、昔から「有事の金」などと呼ばれます。株や債券とは違って、金はそのものに価値があるため、安全な資産だと考えられているからです。実際に、何か問題が発生すると、株や債券が売られる代わりに、金が買われる傾向があります。つまり、株や債券とは違った値動きをするため、分散投資の役に立つのです。

金に投資する方法でもっとも手軽なのは純金積立。毎月一定額を積み立てて、金の現物に投資していきます。SBI証券・楽天証券・マネックス証券などのネット証券でスタート可能。いずれも毎月1000円という少額から積み立てができます。

もっと手っ取り早く金に投資するなら、金ETFを購入するのもいいでしょう。金ETFは、金の価格と値動きが連動する投資信託です。注目は「SPDRゴールドシェア」。1口約2万円から低コストで金の値動きの力を利用できます。

金ETFも、SBI証券・楽天証券・マネックス証券などのネット証券で購入可能です。

(3)米国ストリップス債

国がお金を借りるために発行する債券のことを国債といいます。国債を持っていると、あらかじめ決められた利息を受け取れます。また、返済期限(償還日)がきたら貸したお金(額面金額)が返ってきます。

日本も国債を発行していますが、おすすめはここでも米国の国債、米国債です。

米国債の格付け(債務の支払い能力を格付け会社が評価した指標)は日本の国債よりも高くなっています。そのうえ、米国債のなかには年1%以上の金利が受け取れる商品も。日本の個人向け国債の金利は下限の0.05%が続いていることを考えると、高金利です。

しかも、2020年2月から3月にかけて新型コロナウイルスのリスクが表面化すると、株価は下落しましたが、米国10年債の価格は上昇(=債券の利回りが下落)。これは、株と債券を組み合わせることで、値下がりのリスクが少なくできたことを表しています。

米国債には、持っている間一定の利息が得られ、満期になると投資した元本が戻ってくる「利付債」と、額面より安い金額で割引販売され、満期になると額面の金額が受け取れるストリップス債があります。

このうち、おすすめはストリップス債です。ストリップス債は持っている間の金利が支払われずに元本に組み込まれていきます。そのため、複利効果を生かしやすいからです。

SBI証券・楽天証券では100ドル、マネックス証券では1,000ドルから米国債を購入できます。取り扱いのある利付債・ストリップス債の本数や利回りは、証券会社によって異なります。

(4)日本株

私たちの住む日本の株の中にも、株価が10倍になる「テンバガー」の銘柄があるかもしれません。また、10倍とまではいかなくても、株価が大きく上昇するものがあるかもしれません。それを探すために、投資家のバイブルともいわれる「会社四季報」のスクリーニングを行いましょう。

四季報スクリーニングのポイントは、3つあります。

(1)長期的な潮流の業界か・付加価値が高いサービスを展開しているか
たとえば世界の人口は現時点で約78億人ですが、2100年には109億人まで増加すると考えられています。そうすると、資源が枯渇したり、食料が不足したりする問題が出てきます。
また、高齢化が急速に進むなかで、長生きしたい・若くありたい・綺麗であり続けたいという願望は、日本だけでなく世界中であり続けるでしょう。このような長期的な課題・傾向をいくつか考えてみてください。解決する業界、分野をあらかじめスクリーニングしていきます。

(2)株価のチャートが右肩上がりになっているか(特に直近の株価が上向きか)
次に、株価のチャートが右肩上がりになっているかをチェックします。会社四季報にはチャートが記されていますので、下げトレンドが終わって横ばいになり、直近の株価が上昇している銘柄を探します。

(3)売上高と営業利益の「両方」が下に行くほど伸びているか
会社四季報の売上高と営業利益が年々上昇しているものを探しましょう。売上高だけが伸びているときは、経費の使い方に問題がある場合も考えられます。一方、営業利益だけが伸びているときは、経費を削減しているだけの場合もあります。

また、「予」の字がついているデータは、四季報の記者が予想したデータです。この数字も順調に拡大しているとなおよいでしょう。

該当するチャートやデータを見つけたら、会社四季報の本に片っ端から付箋を立てていきましょう。それが終わったら、付箋のついたページの記事欄をチェックします。
記事欄には、四季報の各社担当記者が行なった独自の取材をもとに、業績見通しや株価に影響を与えそうな新商品、経営課題などが記載されています。

特に注目して欲しいのが、記事欄の見出し、【】のカッコで記載された部分です。ここに【独自増額】とある場合は、取材の結果、記者が「会社計画は保守的すぎる」と判断し、独自に予想を引き上げています。ということは、今後現状の会社の予想よりもいい決算が発表されたり、思わぬ上方修正があったりする可能性がある、ということです。

また、欄外の「四季報独自予想欄」にも注目。ここに笑顔マーク2つの「大幅強気」がついていたら、四季報営業利益予想と会社営業利益予想の乖離率が30%以上あることを示しています。これもまた、好決算や上方修正の可能性があるというわけです。
たとえば、オイシックス・ラ・大地(3182)は、会社の営業利益予想と四季報の営業利益予想が大きく乖離しており、大幅強気のマークがついていました。結果、2020年後半から何度も上方修正・最高益更新を発表。2020年3月時点で安値1000円前後だった株価は、2020年10月時点で高値4000円超えと、約4倍もの上昇を見せています。

(5)積立FX

FX(外国為替証拠金取引)は、円やドル、ユーロなど、異なる通貨を売買して利益を狙う投資です。手数料は外貨預金の10分の1~数百分の1程度。外貨預金よりも断然低コストで通貨の売買ができます。

FXでは、預けたお金より多くの通貨を売買できるようにする「レバレッジ」が魅力ですが、利益だけでなく損失も大きくしてしまいます。また、為替レートは短時間で大きく上下することもあるため、リスクの高い投資といえます。

その点、SBIFXトレードの「積立FX」を利用すれば、FXの積立投資が可能。定期的に決まった金額ずつ通貨を購入することで、価格が安いときにたくさん買い、高いときに少なく買うため、平均購入価格を下げることができます(ドルコスト平均法)。

積立FXではレバレッジも3倍まで(通常は25倍まで)と比較的低く抑えられています。そのうえ、金利の高い通貨を買って持っていると、金利のようなスワップポイントが毎日受け取れます。1度申し込めば、あとは自動で投資が進むので、忙しい方にも比較的向いています。


以上、つみたてNISA・iDeCoの次の投資の候補となる投資を5つ、紹介してきました。まずはつみたてNISA・iDeCoを上限いっぱいに利用し、それでもまだ投資に振り分けるお金があるのであれば、リスクを考慮した上で、自分にあったお金の増やし方を探してみてはどうでしょうか。

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