無人補給船「天舟2号」中国独自の宇宙ステーションへのドッキングに成功

【▲ 長征7号遥3に搭載されて打ち上げられる無人補給船「神舟2号」(Credit: Xinhua/Ju Zhenhua)】

中国国家航天局(CNSA)は5月31日、補給物資を搭載した無人補給船「天舟2号」の打ち上げと、建設中の宇宙ステーション「天宮」のコアモジュール「天和」へのドッキングに成功したことを発表しました。

天舟2号を搭載した「長征7号」ロケットは、日本時間5月29日21時55分に海南島の文昌衛星発射センターから打ち上げられました。打ち上げから約10分後にロケットから分離された天舟2号は自律的に飛行し、約8時間後の日本時間5月30日6時1分に天和モジュール後方への自動ドッキングに成功しています。

天和モジュールは中国が今年から建設を始めた宇宙ステーション「天宮」の中核となるモジュールで、4月29日に打ち上げられたばかりです。全長16.6m、重量22.5トンの機体には船外活動用のエアロックや全部で5か所のドッキングポートが備わっていて、今後打ち上げられる予定の2つの実験モジュール「問天」「夢天」の結合や、最大3機の有人宇宙船および無人補給船のドッキングに対応します。

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同国では有人宇宙船「神舟12号」による天和モジュールへの初の有人飛行を6月に予定しています。今回の天舟2号の打ち上げは、神舟12号で天和モジュールへ向かう宇宙飛行士3名が滞在に必要とする物資をあらかじめ届けておくために、神舟の打ち上げに先立って実施されました。

新華社通信によると、天舟2号によって運ばれた物資の重量は合計6.8トン。そのなかには船外活動用の宇宙服2着(1着あたり100kg以上)や生命維持システムの予備品といった機器類、3か月間滞在する宇宙飛行士のための生活物資や宇宙食、天和モジュールに補充するための推進剤が含まれています。また、来年打ち上げが予定されている実験モジュールの結合に備えて、天和モジュールのロボットアームを使用して天舟2号を側面のドッキングポートへ移動させるテストも実施される予定です。

新華社通信は中国有人宇宙機関(CMSA)からの情報として、天宮に関する今後の打ち上げ予定も伝えています。記事によると、今年後半には補給船「天舟3号」と宇宙船「神舟13号」が天和モジュールに向けて打ち上げられる予定で、別の宇宙飛行士3名による6か月間の滞在が計画されています。2022年には実験モジュール2基(問天、夢天)の打ち上げと補給船2機・宇宙船2機の打ち上げが予定されています。

【▲ 中国が建設を開始した宇宙ステーション「天宮」のイメージ図(Credit:CMSA)】

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Image Credit: Xinhua
Source: CNSA / 新華社通信
文/松村武宏

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