巨投止まらぬ〝故障ドミノ〟…チーム内から「便利屋・田口がいてくれたら」の嘆き

離脱者続出のG救援陣。原監督も頭が痛い

野戦病院化が進む巨人で2日、新たに守護神ルビー・デラロサ投手(32)が「左脚の違和感」により離脱となった。今季は大竹寛投手(38)、高木京介投手(31)、野上亮磨投手(33)、田中豊樹投手(27)と救援陣の離脱が相次いでいる。先発陣の中4日登板も続き、救援陣への負担は増す一方。チーム内では「こんな時、あの男がいてくれたら…」と嘆きの声が上がっている。

2日の西武戦(東京ドーム)はプロ3戦目の先発となった横川が3回2失点で降板。4回から戸根が2イニングを1失点に抑えると5回、岡本の逆転適時打でリード。前夜イニングまたぎの畠、大江、中川、〝代役守護神〟ビエイラと計6投手で4―3と逃げ切った。

原監督は「今日はあまり助け船を出さずに、1イニングをという形でね、やってくれたというのは非常に収穫だと思いますね」と救援陣を労った。

とはいえ中継ぎ陣は常にケガと隣り合わせ。開幕直後に〝救援陣のオアシス〟大竹が離脱すると、4月26日に高木が二軍落ちとなった。5月18日には野上が登板途中に「×マーク」を作ると「右肩の異状」により抹消。同日、田中豊も足の不調を訴え二軍降格となった。そしてこの日のデラロサ離脱と〝故障ドミノ〟は止まりそうもない。

先発陣の登板間隔がつまったことも影響している。5月30日ソフトバンク戦の戸郷、3日西武戦のサンチェスが中4日の登板。球数制限のシワ寄せは救援陣にのしかかる。

桑田投手チーフコーチ補佐の「135球完投」指導もあり、開幕直後は先発のクオリティー・スタート(6回3失点以内)率が上昇。3、4月の30戦で1試合平均の投手数は3・83人だった。

だがエース菅野が右肘違和感で5月8日に離脱すると、先発投手が打ち込まれるケースが増えた。救援陣による「一人一殺」のマシンガン継投も多用され、5月の23試合は平均5・35人に跳ね上がった。現在の巨人は首位・阪神を4ゲーム差で追う立場。勝利のためには仕方がないとはいえ、登板しなくても肩を作っている救援陣の疲労は溜まりに溜まっている。そんなギリギリの状況に球団関係者からは「こんな時、田口がいてくれたらどんなに助かったか…」と嘆き節がこぼれた。

3月1日に広岡とのトレードでヤクルトに移籍した左腕はチームでは〝便利屋〟として重宝されていた。ワンポイント、ロングリリーフもこなせる中継ぎとして2019年には55試合に登板し5年ぶりリーグVに貢献。20年には先発と中継ぎで26戦に登板した。宮本投手チーフコーチも「いろいろなポジションをこなしてくれる。チームにとって信頼は厚い。いつも助けてくれる」と左腕に感謝していた。

ライバル球団も「ジョーカー役の田口がいないことで、昨年より巨人の中継ぎの層は薄くなっている」と指摘する。その田口はこの日、楽天を相手に5回途中2失点と粘投。10戦で防御率3・17、2勝4敗とヤクルトにとっては欠かせないローテ投手となっている。

もちろん巨人にとってもマイナスばかりではない。交換相手・広岡もこの日、「7番・遊撃」で出場し3打数1安打と離脱中の坂本の代役として活躍している。

G救援陣にこれ以上の離脱者を出さないためには、新たな〝田口〟の出現を期待するほかはなさそうだ。

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