教員も児童の唾液検体を採取 学校PCR検査 手順なく現場「不安」

 新型コロナウイルス感染防止策として沖縄県が設置した「学校PCR支援チーム」の唾液の検体採取を巡り、実際に児童生徒から採取するのは保護者だけでなく教職員も想定し、集められた検体を教職員が検査機関へ持ち込む方法であることが2日、分かった。県の新型コロナ対策本部によると、すでに同様の採取方法による事例が複数ある。

 県対策本部によると、実際に唾液検体を採取する際には、検体採取キットに同封された、メーカーの説明書に沿って対応する。県独自の検体採取の作業手順を作成する予定はない。教職員が検査機関に持ち込むまでの手順についても、教職員向けの研修などを予定していない。

 医療関係者は「検体の取り扱いは医療従事者でなくてもできる。対応に追われる医師らは学校に行く余裕がなく、教職員、保護者が検体を採取するのは非常に助かる」と期待した。教職員に周知されていない状況については「(教職員の)不安が大きくなってしまう。県はしっかりとマニュアル化して周知徹底すべきだ」と指摘した。教職員は感染リスクへの不安を口にした。

 保護者と教職員による採取や、教職員による持ち込みは5月31日から実施している。6月2日時点で、県対策本部は本紙取材に、学校への周知はしていないと説明した。4日にオンラインを利用し、各教育事務所や市町村教委に説明する場を設ける予定だという。

 県医師会の玉城研太朗理事は「検体の取り扱いは、教職員や保護者でもできる。医療従事者に余裕がないため、今回の取り組みは迅速な検査の実施という観点から期待できる」と評価した。

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