<南風>チーム得点王と新人賞

 大学卒業してからは、母校のコーチと母校のOBチームでハンドボールを続けた。1年目は充実していた。県内では敵なし、思い描くプレーができるし、国体も出場でき、社会人の全国大会へ出場もできた。全国大会では負けて悔しいはずなのに、大人になってそんな悔しい気持ちって出すのはダサいみたいな変な格好つけがあった。

 ところが2年目にその年に感じていた不安が的中し、周りとの温度差が出てきた。俺はもっとやりたいのになんで。それは県大会で負けた時に気持ちが切れた。やはりもう一度高いところで自分を試したい。国体も母校のコーチも続けたまま、次の年に日本リーグへ行くことを決意した。

 今は廃部したが、HC東京というクラブチームに加入させてもらうことになった。三つの実業団が廃部となり結成されたチームなので元日本代表選手が多くいた。自分のやってきたハンドボールの足りない部分を事細かく教えてもらった。

 リーグが始まり初戦の途中から出場機会をもらい見事勝利することができた。その試合チーム最多得点を挙げたが、その元代表の一人から怒られた。いきなり通用してしまったことを褒めるより僕を育てるために怒ってくれたのだ。

 大学に入ってから怒られたことなんかなかったのでとても新鮮な気持ちで次回以降の練習、試合には益々力が入った。

 シーズン途中ノルウェー出身のスーパーエースの加入もあり出場機会は少し減ったが、怒られた経験と大学時代、どうしたら使ってもらえるか考えた経験が生きて、シーズン中盤以降はノルウェーのエースと併用で使ってもらい、終了時にチーム得点王と新人賞のタイトルをいただいた。次のシーズンはもっとやれると思った矢先、また奈落の底に落とされる事件が起きた。

(水野裕矢、琉球コラソン代表取締役CEO)

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