RSCの強豪エレバスも2022年にカマロへのスイッチを表明。最新レンダリング画像を公開

 来季2022年に“Gen3”と呼ばれる新型共通シャシーの導入を予定するRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップで、現在ホールデン陣営のトップチームとして活動するエレバス・モータースポーツが正式にマシンスイッチを表明した。新規定導入に合わせた新型モデル『シボレー・カマロZL1』を走らせるとアナウンスし、その最新レンダリング画像を公開している。

 オーストラリア大陸を代表するツーリングカー選手権は、2013年から“Car of the Future(カー・オブ・ザ・フューチャー/COTF)”と呼ばれる共通シャシー規定を導入し、コスト削減と合わせて多くのマニュファクチャラーを呼び込んだ。

 ボルボ、メルセデス、そしてニッサンの新規参入を受け、メルセデスAMG E63とともに参戦を開始したエレバスは、2016年からホールデン陣営にスイッチし、シリーズの盟主として50年以上に渡るライバル関係を築いてきたフォードとの直接対決の輪に加わった。

 そして2017年には当時のエースドライバーだったデビッド・レイノルズとともに、チャンピオンシップ最大の1戦である『バサースト1000』を制するなど、名実ともにトップチームの仲間入りを果たしている。

 ここまでホールデンとともに通算5勝を挙げているエレバスだが、チームCEOのバリー・ライアンは「GM(ゼネラルモータース)のファミリーに留まりたいという願望が、来シーズンからカマロを走らせる決定の鍵だった」と語った。

「チーム代表のベティ・クリメンコは明らかに“フォードの人”ではなく、GM色の強い人物だという点も含め、来季はカマロを走らせることを選択した。これまでGMやホールデンと築いてきた信頼関係を壊す必要はなく、今いる場所で引き続き傘下ブランドと戦うことを決めたんだ」と説明するライアン。

「カマロはこの新規則とシリーズに最適なベースモデルであり、フォードのマスタングとは永遠のライバル関係だ。この両車が直接対決を演じるシリーズなんて本当にエキサイティングだろう? コモドアのようなサルーンでなく、60年代から続く2ドアスポーツカーの頂上決戦を繰り広げるのが今から楽しみだよ」

 来月にもエレバスのファクトリーには初期の“Gen3”ローリングシャシーが到着し、チーム自身がカマロの最終コンストラクションを担当する。その製造を終えた新型車で2022年を迎えることに、改めて「自信を持っている」という。

「本当にクールなクルマになるだろうし、これまで以上にファンを惹きつけることを願っている。現在の目標は2022年開幕戦のグリッドに新型カマロを並べることで、とくにブーストモバイルカラーのシボレー・カマロは最高のルックスだろうね。来季のトラックデビューが本当に待ち遠しいよ」

現在ホールデン陣営のトップチームとして活動するErebus Motorsport(エレバス・モータースポーツ)が正式にマシンスイッチを表明
チームCEOのバリー・ライアンは「GM(ゼネラルモータース)のファミリーに留まりたいという願望が、来シーズンからカマロを走らせる決定の鍵だった」と語った
5月最終週に公開された“Gen3”規定シャシー。すでにTriple Eight Race Engineering(トリプルエイト・レースエンジニアリング)とDick Johnson Racing(ディック・ジョンソン・レーシング/DJR)にてプロトタイプの製作が進んでいる

■「8月にトラックテストを実施できればベスト」とシリーズのMS部門責任者

 5月最終週に“Gen3”規定シャシーを公開したのに続き、CAD画像も披露したスーパーカー・シリーズは、2022年シーズンに先立つ目標として今年8月にも最初のシェイクダウンテストを実施する計画であることも明かした。

 シリーズのモータースポーツ部門責任者であるエイドリアン・バージェスは、すでにトリプルエイト・レースエンジニアリングで製作が進む最初のプロトタイプが、おそらくシドニー・モータースポーツ・パークで非公開テストに臨むことを示唆した。

「この8月には、すでに2号機が納入されたディック・ジョンソン・レーシング(DJR)と合わせて、両方のプロトタイプが稼働することを望んでいる」と語ったバージェス。

「先日には共通シャシーの写真を披露し、多くのファンがそのフレーム構成を目にしたと思うが、トリプルエイトはシボレー・カマロを、DJRはフォード・マスタングをそれぞれ架装することになる」

「これらのシャシーはあらゆる点で同一であり、両チームはボディワークとの適合においてホモロゲーション申請を行う。8月にトラックテストを実施できればベストだが、海外で調達する必要があるコンポーネントがいくつか存在するため、現在進行中の世界的なロジスティクスの問題にも留意する必要があるだろう」

 その他のチームへは2021年末までのシャシーデリバリーが計画されているというが、バージェスによれば今季終盤にもこの新規定シャシーのプロトタイプが“実戦デビュー”を飾る野心を抱いている、と付け加えた。

「前提として順調なプログラムを消化し、数千kmに及ぶテストをクリアする必要がある。だからこそ、プロトタイプでも最初からできるだけ完成度の高いマシンにしたい」と続けたバージェス。

「今年いくつかのイベントに参加したいと考えているが、実際に時期が近づくまでは、どのレースかを言うことはできないね。ただし、この新型モデルを早くファンの前で走らせて、実際のお披露目をしたいと考えるのは当然のことだ」

 5月28日~30日の週末にオーストラリア・ビクトリア州のウィントン・モーターレースウェイで開催予定だった第5戦“スーパースプリント”を延期したRSCだが、現時点では第6戦として6月18~20日の週末に位置付けられているダーウィン・トリプルクラウンからのチャンピオンシップ再開を予定している。

ローリングシャシーの画像に続いて披露されたCAD(Computer-Aided Designs)イメージ
2013年の“Car of the Future(カー・オブ・ザ・フューチャー/COTF)”から導入されたFIAインスティテュート考案のサイドインパクト構造も踏襲する
シリーズのモータースポーツ部門責任者であるエイドリアン・バージェスは、2021年8月のシェイクダウンを示唆した

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