「新型コロナウイルス」関連破たん 累計1,589件【6月3日16:00 現在】

 6月3日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が6件判明、全国で累計1,510件(倒産1,429件、弁護士一任・準備中81件)となった。
 月別では2月(122件)、3月(139件)、4月(154件)と、3カ月連続で最多件数を更新した。5月は124件と、2021年1月以来4カ月ぶりに前月を下回ったが、過去3番目の件数と高水準だった。6月も3日間で35件が判明し、引き続き高いペースが続いている。
 なお、倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計79件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計1,589件となった。
 3度目の緊急事態宣言は、6月20日まで期限延長し、「まん延防止等重点措置」も含めて、適用地域のコロナ関連破たんが着実に増加している。特に、飲食店の酒類提供の制限、飲食店や商業施設などの時短営業や休業が広がり、消費関連企業への影響が懸念される。
 ダメージを受けた企業への金融支援策は継続するが、事態の長期化による過剰債務の問題や、息切れ、事業継続をあきらめて破たんに至るケースも多い。コロナ関連破たんは6月も高い水準で推移する可能性が高まっている。

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 30件以上は11都道府県に ~

 都道府県別では、東京都が362件(倒産342件、準備中20件)に達し、全体の約4分の1(構成比23.9%)を占め、突出している。以下、大阪府155件(倒産151件、準備中4件)、神奈川県79件(倒産73件、準備中6件)、愛知県73件(倒産73件、準備中0件)、北海道63件(倒産62件、準備中1件)と続く。
 3日は奈良県で2件、北海道、神奈川県、兵庫県、香川県でそれぞれ1件が判明した。都道府県別では10~20件未満が18県、20~30件未満が7府県、30件以上は11都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上)~飲食が最多274件、建設144件、アパレル131件、宿泊80件 ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多の274件。一部地域では休業や時短の要請が継続し、営業制限が続く飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
 次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が144件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の131件。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が80件と続く。
 また、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が67件、食品製造業も49件と目立 ち、飲食業界の不振が関連業種に波及している。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した1,487件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の544件(構成比36.5%)、次いで1億円以上5億円未満が506件(同34.0%)、5千万円以上1億円未満が254件(同17.0%)、5億円以上10億円未満が93件(同6.2%)、10億円以上が90件(同6.0%)の順。
 負債1億円未満が798件(同53.6%)と半数を占める。一方、100億円以上の大型倒産も6件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した1,429件の形態別では、破産が1,260件(構成比88.1%)で最多。次いで民事再生法が79件(同5.5%)、取引停止処分が71件(同4.9%)、特別清算が11件、内整理が7件、会社更生法が1件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した1,426件の従業員数の合計は1万7,755人にのぼった。
 1,426件の内訳では従業員5人未満が768件(構成比53.8%)と、半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が284件(同19.9%)、10人以上20人未満が197件(同13.8%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 また、従業員50名以上の破たんは2021年1-3月で11件発生し、4月は1件発生した。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

日本地図20210603①

‌               (負債1,000万円以上)                  

日本地図20210603②

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

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