【MLB】大谷翔平、前例なき二刀流挑戦の裏側 投手コーチ語る「明らかにユニークだから…」

エンゼルス・大谷翔平【写真:ロイター】

「ショウヘイは明らかにユニークだから、私たちは観察していかなくてはいけない」

投打二刀流で米球界に衝撃を与えているエンゼルスの大谷翔平投手。打者としては打率.263、15本塁打40打点をマークし、リーグ本塁打王を争う。投手としても7試合に登板して1勝1敗、防御率2.72と上々の成績を残している。

今季ここまで55試合を消化しているエンゼルスだが、投打二刀流としてプレーを続ける大谷が出場機会なく欠場したのは、わずか2試合だけ。昨季までは登板前後は休養に充てていたが、今季は大谷自身の希望もあり、登板前後でも打者として出場し、登板日にはDHを解除する“リアル二刀流”もこなしている。

打者としても投手としてもエンゼルスにとって中心的存在となっている大谷。どちらもチームに不可欠な存在なだけに、ジョー・マドン監督ら首脳陣もその起用方法には細心の注意を払っているよう。オンライン会見に応じたマット・ワイズ投手コーチもそう語っている。

連日、試合に出場しており、その疲労も心配されている大谷。ワイズ投手コーチが「長めの休みを与えることについては、あらゆることを考慮に入れている。ショウヘイは明らかにユニークだから、私たちは観察していかなくてはいけない。登板やブルペン投球の間隔、打席に立つ日、あらゆることが要素になっている」と語り、様々な要素を総合的に判断して、大谷の登板について決めているという。

また、ある程度決まった登板間隔で先発する他のローテ投手と違い、打者としても出場する大谷はコンディションによって登板日が変更になることも。その際には他の投手が代わりに“谷間”を埋める必要が出てくるが、同コーチは「(大谷の登板間隔によって)他の投手に登板が早くなるよ、遅くなるよと伝えることはあるが、みんな納得しているよ」と、投手陣全体での共通認識ができていると明かす。

エンゼルス・大谷翔平【写真:AP】

球速低下の原因は…「手術後は浮き沈みがあるもの」

5月19日(日本時間20日)のインディアンス戦では球速がいつもより7、8キロ低下。28日(同29日)のアスレチックス戦では幾分、球速は回復したものの、それでも平常時よりは遅いままだった。ただ、それでも、大谷はインディアンス戦で5回途中5安打2失点、アスレチックス戦では6回3安打3失点と試合を作った。

球速低下の原因として、パドレスのダルビッシュ有投手はトミー・ジョン手術による影響だと指摘。ワイズ投手コーチも「トミー・ジョン手術を受けたことがある選手を指導したこともあるが、手術後は浮き沈みがあるものだ。寒さが影響することもあれば、暑さが影響することもある。本当に多くの要因があるんだ」と同調する。

また、大谷特有の“問題”もあるという。「ショウヘイはユニークだ。彼は打撃も投球もするから体をたくさん動かさないといけない。だから人間の体の常として体が重く感じる時もあり、それも要因になる。球速低下についてはジョーも私も気にしていたが、その時、彼は体の異常は訴えていなかった。これからも全てを観察していく。先を見越して休みを多く与えたりすることが必要であれば、やっていく」と、常に状態を見ながら、起用法を検討していくとしている。

ただ、球速が出ていない中でもそれなりに抑えられていたことは好材料で、ワイズ投手コーチは「ここ2回の登板では明らかに球速は落ちていたが、速球以外の球種でカウントを取り戻す能力を見せていた。球速も必要な時には出せていた。これが最も素晴らしいところだ。彼が後半で球速を出そうと思えば、97、98マイルを出すことができる。彼のボールに対する感覚は今非常に強い。それを維持できるようにしていきたい」とも説明。大谷の“成長”を感じている様子だった。

前例のない二刀流としてプレーを続ける大谷。その起用法を考えるマドン監督やワイズ投手コーチら首脳陣も日々、その最善策に頭を悩ましているよう。周囲の協力も得て、大谷は歴史に名を残すシーズンを送っている。(Full-Count編集部)

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