コロナ禍で蔓延する“すごもり疲れ”にお酢という選択肢。肥満やストレスに効く理由とレシピはこれ!

外出制限による運動不足や肥満、ストレスによる疲労の解消など、コロナ禍におけるこころと身体の健康を維持するために「お酢」の働きが注目されています。

食酢が健康や美容に良さそうなことは知っていますが、具体的に何が良いのか分かりません。あの独特の匂いや酸っぱさに苦手意識をもつ人もいるでしょうか。健康的に美味しく摂れるならば試してみたいものですが…。そこで今回は、先日開催された「お酢でおいしさと健康を考える会」(以下、考える会)のメディアセミナーに参加し “すごもり疲れ”に効くお酢の力やレシピなどについて探ってきました。

酢を摂ることで何が解決できるのか?

食酢の主成分は「酢酸」。調味料としての役割はもちろん、調理においては肉に含まれるたんぱく分解酵素の働きを高めて、肉を柔らかくしたり 、魚の臭みをとったりとさまざまな活用方法があります。また防腐・抗菌効果があり食品を痛みにくくすることから保存食としても活躍します。

他にも、酸味による唾液分泌効果、夏場の食欲増進、胃粘膜保護、胃潰瘍予防、消化促進、カルシウムや鉄の吸収促進、グルコースの吸収遅延(糖尿病予防)、肝臓・筋肉のグリコーゲン急速補充(疲労回復促進)、RAA系(レニン‐アンジオテンシン‐アルドステロン系)の抑制による高血圧予防、総コレステロール低下(脂質異常症予防)、内臓脂肪の低下(肥満予防)、血流の増大(冷え性改善)…など、ざっと挙げてもこれだけの効果や機能が期待できるそうです。

なかでも今、“すごもり疲れ”の解消に良いと注目されているのが食酢の「ダイエット効果」と「食欲増進効果」なのです。

食欲増進×肥満抑制の効果

健康的な生活を送り免疫力を保つためには、適度な運動と正しい食生活が大切。すごもり生活にあって「動かない・食べない」では身体の機能は衰えていくばかりです。運動不足は体内の活性酸素を生み出し、細胞の不活性化による血行不良や低体温、代謝・免疫力の低下などにつながり、生活習慣病や鬱(うつ)などの原因にもなります。

そこで酢。食酢の酸味は味覚や嗅覚を刺激し、食欲をコントロールする脳の摂食中枢に働きかけるといわれており、疲労時や食欲不振時には酢を使った料理が食欲を増進させます。また、同時に胃液の分泌を促し消化酵素のはたらきを活発化させ消化吸収を助けたり、体内の老廃物や有毒物質を取り除くのを助けたりする作用があるといわれています。

内臓脂肪を減らすメカニズム

一方で酢酸には、食物の小腸への移動速度を遅くさせ食後の血糖値の上昇をゆるやかにしたり、脂肪の取り込みを抑えたりする働きがあります。さらに、アミノ酸には脂肪を燃焼する効果があるといわれているので、食酢中のアミノ酸も期待できます。

広島修道大学健康科学部健康栄養学科の多山賢二教授は、肥満者(BMI 25~30)を対象とした「食酢摂取のヒト試験(平均年齢44歳の175名/3グループに分割)」の結果を挙げ、食酢に肥満や糖尿病予防効果があることを説明。しかし、摂取をやめた4週後には元の体重に戻ってしまったそうで、食酢30㎖摂取することが、より効果はあるが、酸味が強く継続摂取は難しいと考えられるので、無理なく摂れる食酢15 ㎖を毎日、継続的に飲み続けることが大切だと話します。

表)3グループに分け、プラセボ(乳酸)、食酢15㎖、食酢30㎖を12週間かけ毎日、朝夕摂取させたところ、皮下脂肪および内臓脂肪の減少が確認でき、食酢30㎖摂取では、平均で約2㎏の体重減がみられた。

効果的な摂取の方法は?

また、昨年末に「考える会」が行った実験「28日間お酢を継続して摂るダイエットチャレンジ」では、参加者84名(20歳~60歳の男女)のうち64%に体重減少や疲労感の解消などの症状がみられ、なかでもBMIの高い肥満区分にあたる参加者の45%は体重減少が顕著だったそうです。

摂取したタイミングなどについて、体重が減少した参加者らを調べると、朝食時や間食時に食酢をドリンクで1日に15㎖以上摂取していた人が多く、変化がなかった参加者と比べて朝食時の摂取回数に差がみられたそうです。

東京有明医療大学保険医療学部鍼灸学科 川嶋朗教授は、「朝食時や運動前に飲むことで脂肪燃焼効率が良くなり、体重減少という結果に現れたのではないか」と説明。ちなみに、エネルギー摂取量が多い夕食時や寝る前に飲むと糖の吸収を抑える効果が期待できます。

食酢は5以上倍に希釈して飲まないと胃や食道が荒れる原因になるため注意が必要です。そもそも酸っぱいので薄めないと飲めませんが、1日に15㎖~30㎖(大さじ1~2杯)がベストで、90㎖以下(大さじ6杯)の摂取ならば問題ありません。

人気のレシピは?

参加者が試したレシピで多かったものが、野菜や果物と一緒に食べ合わせる方法。「トマトとリンゴ酢のジュース」や「大根など根菜の漬物」、ヨーグルトや納豆といった発酵食品と一緒に食べる例も多かったそうです。酸味のきいたグレープフルーツジュースに入れると美味しいという意見も。宅飲みする人には、焼酎やハイボールなどに入れるのもおすすめです。

また、塩分や糖分が多い調味料の代わりとして使うのも効果的。体重が減少した参加者の食事記録からは、炭水化物や揚げ物、ラーメン、中華系のこってりとした料理に食酢を“ちょいがけ”して食べた例が散見されました。

さらに、食酢を28日間にわたり継続摂取したことにより、全体の47.6%にあたる40名がお腹の調子が改善したと回答しています。もともと便秘・下痢気味だった参加者34人のうち改善がみられた人が22名おり、この結果について多山教授は、「酢酸は小腸上部で体内にほぼ吸収されてしまうため、腸のぜん動運動を高める働きはあっても大腸の整腸作用は期待されていなかった。「もずく酢」の食物繊維は、大腸にて腸内細菌に分解され酢酸を生成しておりこれが腸内環境を改善する可能性があるのかも知れない」と見解をのべています。

お酢でストレスは改善されるのか?

今回のチャレンジでは、全体の46.4%が「こころの疲労感の改善を感じた」と回答しているそうです。また、身体の疲労感については約半数の67.8%が改善したと答えており、なかでも体重が減少した参加者らは、こころと身体の疲労感が両方改善したと回答する割合が多かったそうです。

これは、食酢を継続的に摂るチャレンジに参加したことで、規則正しい生活を過ごし気持ちが前向きになったこと。そして、推測ではあるが、多山教授は、「糖質との同時摂取は、空腹時の肝臓や筋肉中のグリコーゲンの急速補給をもたらすこと、適度な酸味が脳を刺激することなどが重なり、これらがうまくフィットした人は、疲れの速やかな回復を実感できた可能性がある」との見解を示しています。

また、漢方医学が専門の川嶋教授は、「こころの疲労については、漢方医学では五臓六腑の“肝”は“怒”の感情…現代医学でいうところのストレスおよび酸味を司るとされ、酸味を補うことで怒の感情のコントロールできたと考える」と説明しています。

お酢パワーでコロナ禍の夏を乗り切る

なんとも万能感が凄いスーパー調味料「お酢」。肥満気味の人ほど効果があり、コロナ禍におけるすごもり肥満や疲労の抑止になることが分かりました。個人差はあるものの1~4ヶ月以上の継続摂取を行えば、やや不健康である人の半数は数値で実感できるレベルにまで改善される可能性が大きいそうです。

これからくる夏バテによる食欲不振にも、積極的に食酢を利用したいものです。詳細は https://www.instagram.com/osuken_lv/「お酢でおいしさと健康を考える会」または、ウェブメディア「お酢健 WEB」まで。

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