ホンダ フィットがマイナーチェンジでデザイン変更に踏み切らなかったワケとは!? その答えは商品性のアップを最優先に考えたからだった

2020年2月にデビューしたホンダ 新型フィットが発売から1年足らずでマイナーチェンジを実施した。ホンダの、しかも主力車種にすぐさま手を入れたのは異例である。改良に踏み切った要因はトヨタ ヤリスや日産 新型ノートなどライバル車種にユーザーが流れてしまっていることに起因する。だが、今回の改良は販売現場でネガとされていた部分には手を加えていないのだった。一体なぜホンダはこの判断を下したのか? ホンダに直撃してみた。

ホンダ 新型フィット

ヤリス好調の裏でノートが不調!? そのワケはデザインにアリ

ホンダ 新型フィットは2020年にデビューした4代目モデルだ。2000年に投入した初代フィットはすぐさま人気を博し、一躍ホンダを支える期間車種にまで成長。現在に至るまで3度のフルモデルチェンジを実施し、いずれのモデルも根強い支持を集めている。

日産 新型ノートは2020年12月にデビュー, 絶好調のセールスを記録している新型ヤリスは2020年2月に登場
日産 新型ノートは2020年12月にデビュー, 絶好調のセールスを記録している新型ヤリスは2020年2月に登場

だが先にの述べた通り、2020年はフィットのライバルに当たるトヨタ ヤリスと日産 ノートが軒並みフルモデルチェンジを実施。トヨタ ヤリスに至っては2020年7月〜2021年5月まで登録車の販売台数1位を記録するなど、飛ぶ鳥を落とす勢いなのだった。

対してフィットは、ヤリスほどの販売台数を確保できていない状態にある。これに関して、以前ホンダディーラーに問い合わせると「新型フィットのデザインがおとなしく、派手な見た目のライバル車種にお客さんが流れている」と語っていた。そこで、2021年6月3日に発表しフィットのマイナーチェンジモデルはデザイン面の改良などに期待が高まっていたという背景がある。

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デザイン変更に期待高まるも、今回の改良はコネクテッド機能の強化を優先

だが、発表された内容は特別仕様車の追加とコネクテッド機能のみで、期待されていたデザイン変更は施されなかったのだ。一体なぜか?

ホンダ関係者によれば「たしかにお客さんの中にはフィットのデザインに対する声が多く、デザイン変更も視野に入れていた」と語る。ホンダ自身もユーザーの声は認識していたということになるが、今回変更されなかったのは「いち早くコネクテッド機能や快適装備の改善を図りたかった」という。

これまでフィットのメーカーオプションナビはAppleCarplayやAndroid Autoといったスマホ連携機能を搭載していなかった。今回の改良でコネクテッド機能の進化と併せてスマホとの連携を強化

というのも2021年4月に発売され、約3万台の受注を獲得した新型ヴェゼルと同じコネクテッド機能を基本コンポーネンツを共有するフィットへの対応を急ぎ、商品性をアップしたのだ。

コネクテッド機能はほとんど同じながら、唯一異なるのはスマホがクルマのキーになるデジタルキーには対応していない点であるが、車内Wi-FiやAppleCarplayやAndroid Autoといったスマホとの連携を図っているのだった。

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フィットのデザイン変更を含むビッグマイナーチェンジは来年!?

先のホンダ関係者は、肝心のデザイン変更の時期に関しては明言を避けたが「早い時期にデザイン変更を予定している」と語る。ここからは編集部の予想であるが、今回の改良でコネクテッド機能の強化を図り、来年2022年春頃のマイナーチェンジでデザインの変更を施すのではないだろうか。

というのも一口にデザイン変更と言っても衝突被害軽減ブレーキなどに代表される先進安全装備などと協調させるには、それ相応の時間が必要となるのだ。勝手な予想ながら1年という期間があればデザイン変更が可能だからである。

まとめると、今回発表されたフィットのマイナーチェンジモデルは商品性のアップを図り、次のマイナーチェンジでユーザーの意見に答えるデザイン変更に踏み切るということ。それだけに今フィットとヤリスやノートといった車種で悩んでいる方は、もう少し待つのも大いにアリ! なのだった。

【筆者:MOTA編集部 木村 剛大】

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