【MLB】投手の禁止物質使用、取り締まり厳格化へ 違反者は10日間の出場停止処分

MLBで投手の禁止物質使用、取り締まり厳格化へ【写真:AP】

MLBは開幕から数千球を回収、数百球に禁止物質が付着していたという

MLB機構は3日(日本時間4日)、投手による禁止物質使用取り締まりを厳格化すると各球団に伝えた。7月13日(同7月14日)のオールスター前には施行される予定だという。米全国紙「USAトゥディ」が、匿名関係者2人の話として報じた。

「USAトゥディ」によると、チェックの方法としては登板する投手全員のグラブ、帽子、ユニホームを審判が確認する。違反していた場合の措置として10日間の出場停止処分が含まれる見込みだという。

禁止物質の使用を問題視したメジャーリーグは3月25日(同26日)、ボールを回収して確認作業を行うことを各球団に伝えていた。この2か月間に数千球を回収して確認した結果、数百球に禁止物質が付着し、ボールの回転数も急上昇していたという。

5月26日(同27日)のホワイトソックス対カージナルスでは、カージナルスのジオバニー・ガレゴス投手に対して、審判のジョー・ウエスト氏が帽子を交換するように求めた。ガレゴスは帽子を交換した後、登板を続けた。しかし取り締まりが厳格化された後、チェックを受けて禁止物質の使用が発覚した場合、自動的にその投手は10日間の出場停止処分を受けることになる。

フィリーズ捕手「厳格化が進むなら打者にとっては助けになる」

松ヤニや日焼け止めなどはグリップを向上させる目的で長年使われており、打者も死球減につながるならと、あまり文句を言ってこなかった。しかし、この2か月での死球率は近代野球において最も高いという。

カージナルスのマイク・シルト監督は「打者はグリップについては気にしない。彼らはウィッフルボールのような変化をする球を求めていないのだ。それが直近の問題だ」と述べている。

禁止物質の使用は、記録的に低いリーグ全体の打率(.236)、記録的に高い奪三振率(24.2%)の主な要因であると打者側は主張している。フィリーズのJT・リアルミュート捕手は「禁止物質の件は本当に問題だ。投手は以前よりかなり多く使用していると思う。ただ多いだけでなく、効果も上がっている。彼らは回転率を向上させている。それが四球と三振が毎試合多くなっている理由だと思う。思いきり回転をかけるに任せているからコントロールするのが難しい。同時に、打つのも難しい」と説明。「もし厳格化が進むなら正直、打者にとってはとても助けになるだろう。よりインプレーが増え、空振りが減ると思う」と述べている。

シルト監督は投手の禁止物質使用を「野球の汚い小さな秘密」とも表現した。球界の“暗黙の了解”が終わりを迎える時が来たのだろうか。(Full-Count編集部)

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