骨折で長期離脱を余儀なくされたマルク・マルケスが語るMotoGP復帰の過酷さ「まだ5周しかアグレッシブに走れない」

 6月3日、スペインのカタロニア・サーキットで開催される2021年MotoGP第7戦カタルーニャGPを前にプレスカンファレンスに出席したマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)。昨年のレースで右腕を骨折してから約9カ月ぶりにレースに復帰し、ここまで4戦を戦ってきた彼が、身体の回復具合と長期間の休養から復帰する厳しさについて語った。

 2013年にMotoGPクラスに昇格してから2015年を除き、2019年まで6度チャンピオンを獲得しているマルケス。2020年もタイトル防衛を狙っていたが、2020年7月19日に開催されたMotoGP第2戦スペインGPの決勝で転倒を喫して右上腕骨を骨折してから状況は一変した。

2020年MotoGP第3戦アンダルシアGPの決勝レースを欠場する決断を下したマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)

 骨折から2日後に受けた手術は成功と発表され、2020年シーズン中に復帰するかと思われたが、右上腕骨が思うように回復せず、2度の追加手術を必要とした。そのため、昨年は以降のレースすべてを欠場することとなった。

 マルケスは、2021年シーズンの開幕直前に行われたカタール公式テストにも参加できず、第1戦カタールGP、第2戦ドーハGPも欠場。そして、第3戦ポルトガルGPで約9カ月、実に265日ぶりにMotoGP復帰を果たしホンダRC213Vを駆った。

 今季はこれまでの4戦で完全復活を思わせる走りも見せていたが、第3戦ポルトガルGPは7位、第4戦スペインGPは9位、第5戦フランスGPと第6戦イタリアGPは転倒リタイアに終わっている。

2020年MotoGP第9戦カタルーニャGPに訪れた マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)

「復帰してからすべての週末がそうだけど、ムジェロは難しかった。でも、とにかくここからだ。カタルーニャでも僕たちのやり方でもう一歩前進できるようにトライし、プロセスを続け、改善できるか見てみたいと思う」とマルケス。

「特にフィーリング(が重要)で、リザルトは問題ではない。8位、10位、12位でフィニッシュしたからといって人生が変わるわけではないから、フィーリングを向上させることが重要だ」

2021年MotoGP第5戦フランスGP:マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)

 決勝ではシングルフィニッシュを見せており、フランスGPではトップを快走するパフォーマンスを発揮したが、まだ身体の状況は万全ではないという。そして、ジムでMotoGPマシンに乗るためのトレーニングはすべてできないこと、MotoGPの過酷さについても述べた。

「復帰した時は、多少なりともバイクを走らせる状態になっていると思っていたかもしれない。最も驚いたのはMotoGPマシンがいかに過酷かということだ。長い間、家にいると、身体面に対して、どれぐらい厳しさがあるかを少し忘れてしまうことがある」

「さらに驚いたのは、ジムでトレーニングを積み、準備ができると思っても、MotoGPマシンに乗ると力がいるし、横方向の力はジムではどうすることもできない。市販車では連続走行ができたけど、MotoGPマシンではまだ5ラップしかアグレッシブに走れないよ。僕のライディングスタイルではね」

「家に長い間滞在すると、どれほどバイクの要求が厳しかったのかと忘れてしまうけど、世界最高のライダーたちが世界最高のバイクに乗っているから、表彰台や優勝争いがしたければ、すべての面で100%の力を発揮しないといけないね」

 まだ5ラップ程度しか攻めた走りができないようだが、毎レースごとにフィーリングを取り戻しているマルケス。100%の力を発揮し、復帰後初の表彰台、優勝を飾るのはいつになるだろうか。

ランキング首位を維持するファビオ・クアルタラロとマルク・マルケス
2021年MotoGP第7戦カタルーニャGPのプレスカンファレンスに出席したライダー

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