「僕にはできない」楽天・石井監督も驚嘆する通算150勝・涌井の “求道者” ぶり

NPB通算150勝を達成しボードを掲げる楽天・涌井

苦しみながらも粘り切った。楽天・涌井秀章投手(34)が4日の広島戦(マツダ)に先発し、6回10安打5失点ながら14安打12得点の打線の援護もあり、史上49人目の通算150勝を達成。節目の白星に「うれしいですけど、5点も取られてしまってうれしさも半減です。でも、ここまで大きなケガもせずやってこれたので、そこは両親に感謝したい。(トップタイの6勝は)5、6月と全然いい投球ができていないので、できるように頑張りたい」と反省を交えながらも喜んだ。

その涌井を現役時代から公私両面で熟知する石井監督は「そうやって勝ち負けの舞台に立てるということは、体が健康でないとできないこと。それはすごく大事な要素だと思う」と「無事是名馬」の格言を引き合いに出し17年間、大きな故障などもなく第一線に立ち続けてきた右腕の功績を評価した。

丈夫な体は走り込みで培ってきた。涌井にとって走ることは練習の基本で、気がつけばとにかく走っていた。走ることでケガを未然に防ぎ、体のバランスを整えてきた。そんな生きざまを見てきた指揮官は「向上心がしっかりある。向上心がないとあの年になって上がっていくことは難しい。一つのことを追求し続けることは本当にすごいことだと思うし、僕にはできないこと」と涌井の求道者としての側面に敬意を評する。

生き馬の目を抜く勝負の世界で生き抜くために、磨き抜いてきた技術があるのは当然。ただ、その技術を生かすも殺すも、その土台となるのはケガをしない体をいかに作り上げるか。常に自らの体と向き合い、それを熟知してきたからこそ、涌井は妥協なき求道者となりえたと言える。

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