【追う!マイ・カナガワ】どうする119番(上)遠方の母が急病に…横浜から現地へ依頼可能?

119番通報を受けて出動する救急車=横浜市内

 大阪に住む高齢の母の体調が悪く、救急車を呼びたい。でも横浜から119番通報してもいいの? 横浜市港北区の主婦(59)から神奈川新聞の「追う! マイ・カナガワ」取材班にこんな疑問が寄せられた。確かに「119」は市外局番なしで全国どこからでもつながるが、遠く離れた場所から依頼しても問題ないのだろうか。

 疑問を寄せた女性の母は大阪で1人暮らしで、ある朝に「息が苦しい」と女性に電話した。女性は「誰かに頼んで救急車を呼んでもらって」と母に伝え、近所の住民が119番通報してくれたという。

 119番は固定電話でも携帯電話でも最寄りの消防指令につながる。そのことを知っていた女性は「私が通報すると横浜市消防につながる。大阪に転送してくれるのか分からなかった」と振り返り、「今回は近所の人が助けてくれて母も無事だったが、留守の場合もある」と不安を口にした。

 横浜市消防局に、こうしたケースの対応を聞いた。

 「大阪などの遠隔地には転送していません。その場合は大阪の消防の電話番号を伝えて、直接かけ直してもらうことになります」

 予想外だった。遠隔地とはいえ、国内なら簡単に転送できるものだと思っていた。システム上は可能に思えるが、なぜ転送していないのか。

 理由はいくつかあった。(1)通報者は、最初につながった消防と転送先の消防に重複して話をする必要があるため、時間がかかる(2)職員が転送先とやりとりしている間はほかの通報に対応できない(3)通報者が転送先の消防と通話している間、電話を受けた消防の回線が一つふさがる─などだ。

 そうはいっても、緊急時で焦っているときに番号をメモして、きちんとかけ直すことができるだろうか?

© 株式会社神奈川新聞社