前回の記事では全国会議員におけるインターネットメディアアカウント所有率やその調査の方法についてご紹介しましたが、今回の記事では2017年と2020年とのインターネットメディアの利用率の変化や、Twitterの利用度について注目していきます。
図12から図13で、国会議員インターネットメディア利用者数・利用率を、2017年と2020年で比較してみます。[1]まず、男女ともに、YouTubeとInstagramの利用率が上昇しています。これは、衆参両院においても、同じ傾向でした。
図12 国会議員インターネットメディア利用率:2017年と2020年の男女別比較
図13 国会議員インターネットメディア利用率:2017年と2020年の衆参別比較
[1] これは、2017年度 国会議員インターネットメディア利用率データ出典先:(宮澤孟彰. SNS がもたらす政治コミュニケーションの変容可能性ー議員インタビュー調査からー 東京大学大学院 情報学環・学際情報学府, 2017. ) 2020年度 国会議員インターネットメディア利用率データ出典先:(中村佳美.なぜ政治家はSNSを使わざるを得ないのか—SNS活用動機の分析—慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科,2020. )とのデータを比較し、筆者が作成したものである。
図14. 国会議員インターネットメディア利用率:2017年と2020年の政党別比較
図14では、政党別に比較していますが、この3年間で各政党満遍なく利用率を伸ばしています(Twitter 121%、YouTube 130%、Facebook 105~114%、Instagram 727%)。
Twitter利用度
続いて、国会議員のTwitterアカウント所持者における結果を、(a)政党別、(b)衆議院/参議院、(c)男女別、(d)年代別、(e)期数(当選回数)別、(f)在職年数別、(g)地域別の項目に分けて、以下参照していきます。
図15 国会議員Twitter利用者におけるツイート数のヒストグラム(横軸は対数)
図16 国会議員Twitter利用者におけるフォロワー数のヒストグラム(横軸は対数)
(a)政党別
各政党別の国会議員数に対するTwitter利用者の割合(%)を縦軸に、そのアカウント開設日を横軸にとった累計グラフを図17に示します。日本共産党は2016年の時点で全議員がアカウントの開設を完了していました。
図 17 国会議員Twitter利用者におけるアカウント所有率の累計グラフ(政党別)
主なイベント:2013年4月インターネット選挙解禁、衆議院選挙:2009年8月(第45回)、2012年12月(第46回)、2014年12月(第47回)、2017年10月(第48回);参議院選挙:2010年7月(第22回)、2013年7月(第23回)、2016年7月(第24回)、2019年7月(第25回)
一方、国会議員Twitter利用者の各政党別の投稿頻度が図18です。Twitterを2週間放置する議員が自民党議員には約4割いる一方で、日本共産党、国民民主党は所属議員が非常に活発にツイートしていることがわかります。日本共産党は最もツイート数が少ない人でも803ツイートでしたが、自由民主党は500ツイート以下の議員が100人(36%)でした。
図18 国会議員Twitter利用者における最終更新の累計グラフ(政党別)
図19 国会議員Twitter利用者における投稿頻度(政党別)
(b)衆議院/参議院
図20 国会議員Twitter利用者の投稿頻度(衆参別)
(c)男女別
図21 国会議員Twitter利用者の投稿頻度(男女別)
(d)年代別
国会議員Twitter利用者における投稿頻度を年代別に見ると、30代の議員が活発にツイートしていることがわかります。
図22 国会議員Twitter利用者の投稿頻度(年代別)
(e)期数
図23 国会議員Twitter利用者の投稿頻度(期数別)
(f)在職年数
図24 国会議員Twitter利用者の投稿頻度(在職年数別)
図25 国会議員Twitter利用者における最終更新の累計グラフ(在職年数別)
(g)地域ブロック別
図26 国会議員Twitter利用者の投稿頻度(地域ブロック別)
国会議員Twitter利用者における投稿頻度を地域ブロック別に見ると、特に東京都選挙区ブロックの議員が一番活発にツイートしていることがわかります。
Twitter利用度(投稿・更新数、頻度)について
・日本共産党、国民民主党のTwitterアカウントを所有する議員は、ほぼ全員が積極的にツイートしている。一方、自由民主党の議員の約40%は、2週間の間に1回もツイートしない。
・日本共産党の議員が最もツイートしており、日本共産党の議員のフォロワー数は最も少ない人でも4600人である。それに対して、自由民主党は、10万人以上のフォロワー数を持つ議員が11人いる一方で、フォロワー数が1000人以下の議員が約30%いる。
・30代の議員、東京都選挙区ブロックの議員が活発にツイートしている。
・都市部の議員がツイート数もフォロワー数も多い。
次回の記事では「YouTubeとFacebookの利用度(投稿・更新数、頻度)2017年と2020年との比較」という観点から国会議員のSNS利用について注目していきます。
前回の記事はこちら>>「国会議員が一番使っているSNSメディアは一体何?!国会議員SNSメディア利用度調査 その1(中村よしみ)」