アウトドアメーカーの環境へ配慮した取り組みについてメーカーへ直接取材する「キャンプ&SDGs」の第2弾は、世界的なアウトドアメーカー「Coleman(コールマン)」です。世界のキャンプ事情にも詳しいコールマン ジャパン株式会社 代表取締役社長の中里豊さんに、世界各国の最新キャンプ事情と、廃材を蘇らせるColeman(コールマン)の新プロジェクト『MFYR』(MOVEMENT FOR YOUR RIGHT)についてお話を聞きました。
コールマンジャパン社長に聞く 世界中でキャンプブームが加速中?!
世界的アウトドアメーカーであるColeman(コールマン)は、世界各国でキャンプギアを製造・販売しています。今回は、コールマン ジャパン株式会社の代表取締役社長・中里豊さんに、世界各国のキャンプブーム、Coleman(コールマン)の環境への取り組みについてお話を伺いました。
▼お話を聞いた方
コールマン ジャパン株式会社 代表取締役社長
中里 豊さん
職務経歴: 1996 年丸紅株式会社入社。約 5 年間、資源ビジネスに関わる。2001 年に退職後、アジアや欧米諸国を巡る放浪の旅に出る。2003 年日本ロレアル株式会社に入社。台湾にてガルニエ マーケティング部長、帰国後、ロレアル パリの事業部長を務め、2011 年高級ヘアケアブランド「ケラスターゼ」の事業部長としてブランドの成長に貢献。2015 年 11 月にコールマン ジャパン株式会社の代表取締役社長に就任、以来現職。
趣 味: 愛犬と過ごす時間 (愛犬と一緒にキャンプにも行きます)、旅、サッカー
座右の銘: 変化を楽しむ者が生き延びる
コロナ禍で加速した日本国内のキャンプブーム
中里さん:キャンプブームと言われているのはおそらくコロナが始まってからだと思いますが、実はアウトドア市場はコロナ以前から堅調に推移しておりましたので、コロナ禍でその流れに拍車がかかったのだと感じています。
シカゴにいる私の上司はすでに接種を終えていまして、ご存知のとおりアメリカはコロナ禍を抜けそうです。一方、日本はもう少し時間がかかりそうですが、引き続きキャンプ需要だけでなく「おうちキャンプ」や「ベランピング」の人気も継続すると見ています。
私はコロナが落ち着いても、成長率は鈍化するかもしれませんが、堅調な市場が続くと確信しています。
今回のコロナ禍において、私たちの多くが自分自身のライフスタイル、特に働き方について見直したと思います。結果としてキャンプをする曜日やシーズンにも着実に広がっています。
まだお仕事やご家族の都合で難しい方も多いと思いますが、平日のキャンプ場は混雑していなくて気持ちいいので、機会があったらぜひトライしてみてください。
キャンプブームは日本だけなのか?世界のキャンプ事情を聞く
中里さん:コロナの影響でキャンプ需要が伸びているというのは、全世界的な現象なんです。
コールマンは北米を中心に、ドイツ、フランス、イギリス、オーストラリア、日本、カナダ、メキシコなど世界中の様々な地域で展開しておりますが、おかげさまで全ての国でキャンプの重要は著しく伸びています。
主な要因としては、「コロナ」で海外旅行に行けないことでしょう。特に欧米の方は、海外旅行が大好きで、休みになると各国へ旅行されるのですが、それがコロナでできなくなり一気にその需要が「キャンプ」や「アウトドア」へ流れ込んでいます。
コールマン売り上げシェアのトップはアメリカ。各国の『キャンプ経験率』の違い
中里さん:アメリカのブランドなので、売り上げシェアのトップは、当然アメリカですが、2位は日本です。我々のようなメーカーの売り上げは、人口とキャンプの浸透率がかなり大きな要素になります。日本は人口が多いので売り上げ規模も大きいんです。
ちなみに、「人々が過去一年間にどれくらいキャンプをするか?」という指標の1つに、『キャンプ経験率』というのがあります。
オートキャンプ白書が発表している日本人のキャンプ経験率は7~8%くらいなのですが、私はフェスやBBQなどを含めれば10%以上あるのではないかと思っています。
日本は今、「キャンプブームだ」と言われていますが、ようやく私たちのライフスタイルの選択肢の1つに「キャンプ」というものが確立してきたなと実感しておりまして、非常に喜ばしいことです。
でも、この数値は各国と比較するとまだまだ低くて、アメリカは様々なデータがありますが少なくとも3割、オーストラリアは4割くらいにのぼりますので、日本にはまだまだ伸び代があります。
コロナ禍ですが、東京の都心でも休日にベランダでご飯を食べたりと、アウトドアがより身近になってきているのは嬉しいことです。
『グッド・キャンパー』を増やしたい!コールマンの環境に向けた取り組み
続いて、コールマン ジャパン株式会社 代表取締役社長の中里さんに、コールマンの環境へ配慮した取り組みについてお話を聞きました。
ビギナーキャンパーの増加が自然保全につながるように
中里さん:キャンプブームを牽引しているのが新しくキャンプを始めるビギナーキャンパーの存在なのですが、私はビギナーの方が増えるのは、大変喜ばしいことだと思っています。
空気が美味しいことに感謝したり、水が出ることに感謝したりするのは、キャンプならではの体験かもしれません。都会に住んでると、そういう気持ちってなかなか起きないんですよ。
だから、ビギナーの方が増えるというのは自然の大切さを再認識される方が増えるということにつながるので、とても嬉しいと感じます。
日本人キャンパーはマナーがとても良い!
私は、他国と比べて日本人のキャンプマナーは大変良いと感じています。私自身は40ヵ国以上を回っているのですが、日本人のマナーがダントツに良いです。
ゴミもちゃんと分別されますし、周りの方に迷惑にならないようにと配慮もされています。とても素晴らしいマナーです。
たまにニュースで出てくるのは本当にごく一部の方の話で、その方もマナーが悪いというよりは、ルールを知らなかっただけかもしれないなと思っています。
とはいえ、私たちメーカーが上から目線で「これらのルールを守ってください」と言うのは、なんだかとてもおこがましく感じます。
ただでさえコロナ禍でいろいろと我慢の連続の日々の中で、キャンプに行ってまでルールに縛られたくないですよね。私だって嫌です(笑)。
キャンプ場から熱烈なラブコールを受けた『グッドキャンパーの心得』
しかし、たくさんの人が楽しく長くキャンプを楽しんでもらうために、最低限知っておいて欲しいことはあります。
なので、私たちは、上から目線ではないキャンプマナーの啓発方法はないかなと考え、『グッドキャンパーの心得』という活動を始めて、ポスターも作成しました。
上からにならないよう「ルール」という言葉を徹底的に避けつつ、どのようにすればみんながキャンプを楽しめるか?ということをまとめました。
決して難しいことではないのですが、知らないとやらないことかもしれないんですよね。
ありがたいことに、そのキャンプマナー啓発『グッドキャンパーの心得』のポスターは、リリースしてたった2週間のうちに、コールマンとお付き合いのある100を超える全国のキャンプ場から「ぜひ協力したい」「外国人のお客様もいるから英語版も作ってくれ」といったご連絡をいただきました。
こんなにも多くのキャンプ場の皆さまにご賛同いただけたのは、予想外でした。
みなさん、受付やトイレに掲示してくださったりしています。
多様な年代がいるからこそいろんな視点で考えられるようになる
90年代のキャンプブームでは、キャンプ人口は今の2倍もいたのですが、ファミリー層がほとんどでした。
現在は、ソロキャンパーはもちろん、友達同士のグループやシニア層まで、幅広い年代の方がキャンプを楽しまれるようになりました。
このように多様な年代の方が参加されるのは本当にありがたいことで、多様な視点からキャンプマナーや自然について考えることができるようになると感じています。
廃材を世界に一つだけのアイテムとして蘇らせるColeman(コールマン)の「MFYR」プロジェクト
中里さん:Coleman(コールマン)がこれだけみなさんにキャンプを楽しんでもらうための製品を数多く作っているその裏で、私たちは印刷のズレなどで商品として販売できなかったテントや寝袋をやむなく破棄していました。
これらをもっと有効利用していくことはできないか?という想いから、『MFYR』(MOVEMENT FOR YOUR RIGHT)のプロジェクトは始まりました。
「MFYR」プロジェクトの第一弾アイテムは廃材テントから作ったバック
今回コールマンが新しく立ち上げたプロジェクト『MFYR』は、MOVEMENT FOR YOUR RIGHTの頭文字をとって名付けられ、サステイナビリティな思想がキャンプやアウトドアを愛する人々の中に、ムーブメントとして巻き起こることを願い始まったそうです。
その『MFYR』の活動の一歩目として、自社製品の廃棄削減に取り組み、「廃材を利用した商品」を発表。5月某日に都内のホテルTRUNKにて、アートワーク展示を開催しました。
実はどんなメーカーにも、印刷のズレなどの理由で「商品としては使えないアイテム」が製造の過程で生じるんだそうです。これまでは、やむなく廃棄されていたこれらの商品を、コールマンが信頼を寄せるクリエイター・デザイナーの手によって、仕様的にもデザイン的にも「使いたい」と思わせる全く新しいアイテムに生まれ変わらせます。
デザイナー自身が生地の粗裁ちを行い、日本の工場で職人が仕上げていくこの「MFYR」のアイテムは、全てが世界で唯一の1点もの。
全て手作業で行うがゆえに、「無駄のない生地取り」が可能となるんだとか。アイテムを見たときに、「あ!!これってあのテントのあそこの部分じゃない?」という発見も楽しめる商品です。
2021年6月10日(木)発売予定のMFYRの第一弾アイテムはこちら
▼MFYRトート
販売価格(税込) ¥4,500
サイズ 約45(W)×35(H)×15(D)cm
容量 約14L
▼MFYRサコッシュ
販売価格(税込) ¥4,200
サイズ 約25(W)×32(H)×2(D)cm
容量 約5L
▼MFYRバケツトート
販売価格(税込) ¥5,300
サイズ 約45(W)×40(H)×45(D)cm
容量 約61L
ユーザーのみなさまと進化させたい「MFYR」プロジェクト
中里さん:これから私たちもやりながら学んでいくということが前提になっている活動で、今後も長く継続していくことが大切です。
まだ始まったばかりですが、お客様の反応が非常に良いことがとても嬉しいです。
私たちが1メーカーとしてできることには限界があると思いますが、私はお客様の方がよっぼど自然に詳しいし、多様な視点を持っていると感じています。
「どうやったら無駄がなくなるか」、「商品を有効活用できるか」ということは、きっとユーザーのみなさまからもアイデアが生まれてくると思います。
私たちはメーカーとして製品製造という環境に影響を与える行為を行なっている以上、これからも考え続けて、いろいろなことに気づいていかなければいけないと感じています。
SNSなどで、ユーザーのみなさまからも「こんなの作りましたよ」というアイデアがたくさん出てくることを期待しつつ、今後もぜひみなさんと一緒に、MFYRという活動を進化させていけたらと考えています。
『MFYR』今後のスケジュール
2021/6/1(火)
コールマンブランドサイトにてMFYR特設ページ公開
2021/6/10(木)
コールマンオンラインショップと昭島店にてバッグ3アイテム発売予定
▼お問い合わせ先
コールマン ジャパン株式会社カスタマーサービス
フリーコール:0120-111-957