バイエズの「逆走」に翻弄されたパイレーツ一塁手がDFAに

日本時間6月5日、パイレーツは新型コロナウイルスに関連した故障者リストに登録されていた先発右腕JT・ブルベイカーの戦列復帰に伴い、ロースターの枠を空けるためにウィル・クレイグをDFAとしたことを発表した。ブルベイカーは産休リスト入りでチームを離脱。チームに再合流するための検査を行うために故障者リストに移されていた。クレイグは2016年のドラフト1巡目(全体22位)指名選手。先日のカブス戦でハビアー・バイエズの「逆走」に翻弄された一塁手として注目を集めていた。

クレイグが全米の注目を集めることになったのは日本時間5月28日に本拠地PNCパークで行われたカブス戦。3回表二死2塁の場面でカブスのバイエズがサードゴロを打ち、三塁エリック・ゴンザレスから一塁クレイグへの送球がやや本塁方向に逸れた。クレイグはこれを捕球して一塁ベースを踏めばよかったのだが、急停止して本塁方向に「逆走」し始めたバイエズを追いかけ始めてしまい、挙句の果てには二塁走者が生還しようとしているのを見て捕手へトス。パイレーツは一塁のベースカバーに誰も入っておらず、カブスに追加点を奪われただけでなく、バイエズに二塁への進塁を許した。

もちろん、パイレーツはこのプレーだけでクレイグのDFAを決めたわけではないと思われるが、クレイグ自身が「バイエズを見て混乱してしまった」と振り返るこのプレーが今回のロースター人事に影響を及ぼした可能性は否定できない。マイナーでは2018~19年に2年連続で20本塁打以上を記録しているが、マイナー通算OPSは.764に過ぎず、メジャーでの通算成績も20試合で打率.203、1本塁打、3打点、OPS.542と平凡。ドラフト1巡目指名の期待に応えることはできなかった。

なお、クレイグは昨年11月にもDFAを経験しており、このときはウエーバーを通過してマイナーに降格。今季はキャンプ招待選手の立場からスタートし、日本時間5月14日にメジャー昇格を勝ち取った。すでに1度ウエーバーを通過しているため、クレイグは今回もウエーバーを通過した場合、マイナー降格を拒否してFAになることもできる。ただし、メジャーの一塁手としては攻守とも決め手に欠けるため、FAになった際に他球団が興味を示すかどうかは微妙なところだ。

© MLB Advanced Media, LP.