60年ぶり 鏡張り替え 地域商店などが協賛金 小山唯一の銭湯「幸の湯」

新しくなった鏡を磨く星さん

 栃木県小山市城山町2丁目にある市内唯一の銭湯「幸の湯」で4日、1961年の創業時からある、劣化していた鏡の張り替え作業が完了した。「地元の銭湯を応援したい」という地域の店舗の協力で実現し、店主の星良則(ほしよしのり)さん(61)は「協力してくれた人の気持ちに応えられるように営業していきたい」と意気込んでいる。

 かつて銭湯は市内に6軒あったものの、時代の変化などで次々と廃業になった。幸の湯は昨年11月に2代目の父・良行(よしゆき)さんが84歳で亡くなり存続の危機を迎えたが、長男の良則さんが「廃業は考えられない」と勤めていた会社を退職し跡を継いだ。現在は家族3人で営んでいる。

 鏡の張り替えは、近くのガラス店「増山硝子店」の増山和晃(ますやまかずあき)さん(41)の発案。増山さんは、2代目の良行さんが生前、「古くなった洗い場の鏡を替えたい」と言っていたことを覚えており、張り替えに協賛する店舗の名前などを鏡に刻み、広告代として費用を負担してもらう方法を考えた。

 近くの商店などに声を掛けると、10の店舗などから2万5千円ずつ協賛金が集まった。そのうち、2人は個人として協賛。5月31日に男湯の鏡を換え、今月4日に女湯の交換を終えた。

 増山さんは「きれいな鏡だと銭湯全体が広く見える。ガラス店としてできることをやりたいと思った」と話す。星さんは「地域の方にご協力いただき、とてもありがたい」と話していた。

鏡が新しくなった洗い場

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