トヨタ、最終日を前にオジエとエバンスがワン・ツー体制築く/WRC第5戦イタリア

 WRC世界ラリー選手権第5戦イタリアは6月5日、競技2日目のSS9~16が行われた。シリーズの最高峰カテゴリーにトヨタ・ヤリスWRCで参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRTはセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組が総合首位に浮上。エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組も総合2番手に順位を上げた。

 前日にデイリタイアを喫し、2日目に再出走を果たしたしたカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組は総合29番手につけ、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加している勝田貴元/ダニエル・バリット組は総合4番手となっている。

 グラベル(未舗装路)ラリー連戦の第2ラウンドである『ラリー・イタリア・サルディニア』のデイ2は、サービスパークの南側から西側にかけてのエリアで8本のSS、計129.62kmで争われた。
 
 この日の早朝は断続的に小雨が降るなど天気が不安定だったが、競技が始まる前には天候が回復。気温もかなり上昇した。そんななか迎えた競技2日目のステージは路面がところどころで非常に滑りやすく、また大きな石が転がる荒れたセクションもあり、多くのトップ選手がミスやトラブルで戦列を去るなど荒れた展開となった。

 前日のデイ1終了時点で首位と36.2秒差の総合3番手につけたオジエは、出走順が1番から8番手に下がったことで本来のスピードを発揮。オープニング直後のSS10でベストタイムを記録して総合順位をひとつ上げると、SS12では首位を走るオット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)がサスペンショントラブルでリタイアとなったことでラリーリーダーとなる。
 
 WRC7冠王者のオジエはその後もペースを緩めることなく3つのステージでベストタイムをマーク。競技2日目に設定された計8本のSSの内5本でステージ優勝を飾ってみせ、最終日を前に首位の座を固めている。
 
 ラリー初日を4番手で終えたエバンスも2日目に入って良いフィーリングを掴み、SS11でベストタイムを記録した。SS12で総合3番手に順位を上げたエバンスは、SS15でダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)が戦列を離れたことから、さらにひとつ順位を上げて総合2番手に。この日最後のSS16を制した彼はオジエと38.9秒差の2番手で最終日を迎えることになった。

エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第5戦イタリア
勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第5戦イタリア
カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第5戦イタリア

■6台がリタイア、「このラリーがいかに厳しいものであるかを物語っている」とラトバラ代表

 デイ1でサスペンショントラブルに見舞われデイリタイアを余儀なくされたロバンペラは、出走順2番手という不利な状況にもかかわらず良い走りを披露し、1日の終盤には4番手タイムを2回記録してみせた。彼の最大のテーマは明日の最終パワーステージにおいて可能な限り多くのボーナスポイントを獲得することだ。

 デイ1で総合6番手につけた勝田は、堅実な走りで困難なステージを走破し総合4番手に浮上した。総合3番手のライバルとは3分近いタイム差があるものの、自己ベストタイとなる総合4位獲得に大きく近づいている。

「今日は多くのドラマがあったが、我々はうまく切り抜け、総合1、2番手に順位を上げることができたので素晴らしい1日になった」とチームの戦いぶりを評価したヤリ-マティ・ラトバラTOYOTA GAZOO Racing WRT代表。

「全部で10台出走したワールドラリーカーのうち、6台がリタイアしたという事実は、このラリーがいかに厳しいものであるかを物語っている。速さだけでなく、信頼性や安定性も求められる1戦なんだ」

「セブ(セバスチャン・オジエ)は本当に良い仕事をしてくれているし、エルフィン(・エバンス)も今朝、自信を取り戻した」

「また、(勝田)貴元も総合4番手と好位置につけている。明日もこれまでと変わらず集中して取り組む必要があるが、そうすることができれば最後にはとても良い結果が得られるだろう」

 早くも今季3勝目が見えてきたオジエは「ここまでのところ、僕たちにとっては完璧な週末だ」とコメント。

「昨日はとても好調だったし、今日もやるべきことはすべてやった。明日はいくつか新しいステージがあるので、最後まで集中して仕事をやり遂げなければならない」

 その競技最終日は、サービスパークの北側エリアで、2本のステージをサービスを挟むことなく各2回走行するスケジュールが組まれている。
 
 サルディニア島の北端に近いエリアで行われるSS17/19“アルツァケーナーブラニアトッギウ”は2009年以来、久々に使われるステージで、SS18/20“アリエントゥーサンタ・テレーザ”は新しく設けられたステージだ。この新ステージで行われる最終SS20は、SSトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが与えられる“パワーステージ”となっている。

セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第5戦イタリア
エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第5戦イタリア
勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第5戦イタリア
カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第5戦イタリア

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