オジエが今季3勝目。トヨタ1-2、勝田貴元は自己ベストタイの4位/WRCイタリア

 6月6日、WRC世界ラリー選手権第5戦イタリアの競技最終日、デイ3のSS17~20が行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)が2021年シーズン3度目の総合優勝を果たした。総合2位はエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)となりトヨタは第3戦クロアチア以来、2戦ぶりのワン・ツー・フィニッシュを飾っている。

 ハイスピードでありながら幅の狭いコースに滑りやすいラフグラベルが乗り、砂が捌ければその下からは大きな石や硬い岩盤が現れる、非常にタフなステージで争われたラリー・イタリア・サルディニア。地中海に浮かぶサルディニア島の北部で行われた今戦は、3日間で最高峰クラスのマシンの過半数がデイリタイアを喫するサバイバル・ラウンドとなった。

 優勝候補に挙げられ、実際にラリーをリードしていたオット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)と、2番手につけていたダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)が揃って姿を消した競技2日目に総合トップに立ったオジエは、デイ2終了時点で彼と38.9秒差の2番手につけたエバンスとともにトヨタのワン・ツー体制を築いて競技最終日を迎えた。

 上空を厚い雲に覆われたラリー最終日は、サルディニア島の北端に近いエリアに設定された“アルツァケーナーブラニアトッギウ(SS17/19)”と“アリエントゥーサンタ・テレーザ(SS18/20)”というふたつのステージでの戦いとなり、オープニングのSS17では総合2番手につけるエバンスがトップタイムをマークし、チームメイトとのギャップを34.1秒に縮めてみせる。

 続くSS18では総合3番手につけているティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)が最速タイムを記録。エバンスは同ステージと、この日2度目のベストタイムをマークしたSS19でもオジエのステージタイムを上回り、その差を32.9秒とした。

 ステージトップ5タイムを記録したドライバーとマニュファクチャラーにボーナスポイントが与えられる“パワーステージ”に設定された最終SS20。最終走者としてこのステージを迎えたオジエは、持ち前の安定した走りでステージ4番手タイムでフィニッシュ。見事、今季3度目の総合優勝を決めた。
 
 一方、直前3本のSSで僅かながら僚友との差を縮めたエバンスだったが、スタート直後のスプラッシュゾーン通過後にエンジンストールに見舞われタイムを失ってしまう。これで逆転優勝の目は完全に潰えることに。また、2番手のポジションも心配されたが、こちらも総合3番手のヌービルとのタイム差が大きかったため順位変動はなく総合2位を守ってフィニッシュしている。

 SS20で最速タイムを刻み、ボーナスポイントの5ポイントを持ち帰ったヌービルが総合3位表彰台を獲得した。その後方では第4戦ポルトガルで自己最高位を6位から4位に更新した勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)が、ふたたび総合4位のポジションでラリーを完走してみせた。
 
 総合5位にはWRC2クラスウイナーとなったヤリ・フッツネン(ヒュンダイi20 R5)が入り、以下、マッズ・オストベルグ(シトロエンC3ラリー2)、ヨハン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)、ペペ・ロペス(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)と続いている。
 
 前日までにデイリタイアを喫したWRカードライバーたちはパワーステージでのポイント獲得に臨み、ヒュンダイのタナクが2番手、カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)が3番手タイムを記録。オジエを挟んで5番手となったソルドまでがボーナスポイントを獲得した。
 
 今季3度目のグラベル(未舗装路)ラリーとなるWRCの次戦、第6戦ケニアは6月24日~27日に開催される予定だ。

エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第5戦イタリア
ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)
勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第5戦イタリア
WRC2クラス優勝を飾ったヤリ・フッツネン(ヒュンダイi20 R5) 2021年WRC第5戦イタリア

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