MotoGP第7戦:接戦のトップ争いを展開したKTMのオリベイラが今季初優勝。中上貴晶はペナルティを受け13位

 6月6日、MotoGP第7戦カタルーニャGPの決勝レースがバルセロナ・カタロニア・サーキットで行われ、MotoGPクラスはミゲール・オリベイラ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)が今季初優勝を飾った。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)はロングラップ・ペナルティを科され、13位でレースを終えている。

 MotoGPクラスの決勝レース前、グリッドにつくためのサイティングラップ中にホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング)が5コーナーでハイサイドを起こして転倒。マルティンはピットに戻り、スペアマシンに乗り替えると、ウォームアップをピットレーンからスタートしてグリッドについた。また、このレースはタイヤ選択がひとつのカギを握ると言われており、グリッド上では特にリヤタイヤについて、タイヤ変更を行うライダーが続出した。

 決勝レースは気温25度、路面温度39度のドライコンディションでスタートした。好スタートを切ったのは、ポールポジションスタートのファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)。しかし、1コーナーに飛び込むブレーキングではジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)がわずかに先行し、さらに4番手スタートのミゲール・オリベイラ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)が2番手に浮上。クアルタラロは3番手に後退する。

 さらに10番手スタートのジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)が4番手にポジションを上げ、5番手にはアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)が続いた。一方、3番グリッドスタートのヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)は6番手に後退する。

 トップをキープしていたがミラーだったが、2周目のセクター1でオリベイラがミラーを交わしてトップに浮上。ミラーはクアルタラロとポジション争いを展開。クアルタラロは7コーナーでミラーに仕掛けた際に膨らんでしまい、6番手付近にまで後退を喫する。

 3周目、トップは依然としてオリベイラ、2番手はミラー、そして3番手にはミル、4番手にアレイシ・エスパルガロが続く。一方、その後方では13番スタートだったマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が7番手にポジションを上げていた。前を走るのは6番手のザルコ。さらにその前には5番手のクアルタラロがいる。

 トップのオリベイラは、レース序盤に少しずつ2番手のミラーを引き離していった。4周目にはその差は0.5秒以上になり、ひとり抜け出す形になる。オリベイラは4周目にはファステストラップを叩き出した。

 2番手のミラーは3番手のミルや4番手に浮上したクアルタラロなどと僅差の状態だったが、6周目には4番手に後退。2番手にミル、3番手にクアルタラロが浮上した。そして、少しずつポジションを上げていたのがマルク・マルケスである。このとき、ザルコやアレイシ・エスパルガロなどと5番手争いを展開していた。しかし、マルク・マルケスは8周目に10コーナーでクラッシュ。転倒によりリタイアとなった。

 トップは依然としてオリベイラ。しかし、2番手に浮上したクアルタラロが、少しずつその差を詰めていく。一時は1秒以上あった差が、10周目に入ると0.5秒を切るまでになった。

 12周目に入ると、オリベイラとクアルタラロとの差はほぼゼロに等しいほどになった。テール・トゥ・ノーズでオリベイラに迫るクアルタラロ。クアルタラロはこの周の5コーナーでオリベイラを交わすと、トップに立った。オリベイラは2番手に後退し、その0.5秒ほど後ろには3番手のミル、4番手のミラー、5番手のザルコが連なっている。

 クアルタラロにトップを奪われたオリベイラだったが、引き離されることなく、14周目のメインストレートから1コーナーまでにわずかにクアルタラロの前に出ると、激しくブレーキング。クアルタラロをオーバーテイクしてトップを奪還した。

 さらに16周目、3番手のミルが、4番手に浮上していたザルコに交わされる。ザルコはスタートで後退して5番手付近を走行していたが、ここにきて3番手に浮上した。ミルはさらにミラーにも交わされ、ミラーが4番手、ミルは5番手にポジションを落とす。

 一方、3番手以下に1秒以上のギャップを築いたトップ争いは、依然としてオリベイラとクアルタラロによって展開された。ふたりの差は約0.3秒のままで周回が重ねられていく。オリベイラはフロント、リヤともにハードタイヤを選択したが、クアルタラロはフロントにミディアム、リヤにハードタイヤをチョイス。ただ、ふたりのペースは終盤に入ってもほぼ同じで、均衡を保っていた。

 しかし、残り5周になると次第にクアルタラロのペースが落ち始め、トップのオリベイラとの差が明らかに開き始めた。やがてクアルタラロは3番手のザルコに迫られると、残り3周の1コーナーでザルコがクアルタラロをオーバーテイク。クアルタラロは1コーナーで大きくはらんでしまい、3番手にポジションを落とす。

 さらに、クアルタラロは4番手のミラーにも接近を許し、3番手争いを展開することになった。クアルタラロはこのときレーシングスーツのチャックが大きく開いた状態になっており、レース中に胸部プロテクターを外す様子が映像に映し出されている。

 トップのオリベイラに向かって、2番手のザルコが追い上げていった。しかし、すでに周回はラストラップ。オリベイラはザルコと0.3秒の差を守って、トップでフィニッシュラインに飛び込んだ。

 オリベイラは今季初の優勝上げた。これはKTMにとっても、2021年シーズン初の勝利となった。2位はザルコ。最後に追い上げてクアルタラロを交わし、2位表彰台を獲得した。また、クアルタラロは3番手でチェッカーを受けたが、残り3周の1コーナーでザルコに交わされた際、大きくはらんでロングラップ・ペナルティゾーンを走ってコースに復帰した走行が1コーナーから2コーナーのショートカットと判断され、3秒加算のペナルティを科された。このため、最終結果は3位ミラー、そして4位クアルタラロとなった。

 5位はミル。6位はビニャーレスだった。また、20番手からスタートしたアレックス・マルケス(LCRホンダ・カストロール)が、大きくポジションを上げて11位フィニッシュ。ホンダとして最上位でフィニッシュしたライダーとなった。中上は1コーナーから2コーナーのショートカットにより9周目にロングラップ・ペナルティを科され、11周目にこれを消化。13位でレースを終えた。

2021年MotoGP第7戦カタルーニャGP ミゲール・オリベイラ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)
2021年MotoGP第7戦カタルーニャGP ミゲール・オリベイラ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)

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