5試合連続白星なし… 楽天・田中将が「日本野球」に苦しむワケ

5日の広島戦も白星はつかなかった

どうにも白星に恵まれない。Vの使者として期待された楽天・田中将大投手(32)が5月1日のロッテ戦で今季2勝目を挙げてから、5試合連続で勝ち星から遠ざかっている。5日の広島戦(マツダ)では序盤に2点を失う苦しい投球で6回8安打3失点。チームは7―3で逆転勝ちしたものの「苦しいピッチングでした」と振り返った。

毎回のように走者を背負い、売り出し中の2年目・宇草と3年目・林にソロ本塁打を浴びた。田中将は「いいプレーにも助けられましたし、いい当たりが(野手の)正面を突いたこともあった。よく3点で収まったなという投球だった。本当に今年の中でも一番良くない感じ」と反省しきりだった。

悪い状態の中で今季6度目のクオリティ・スタート(6回以上を自責3点以内)はさすがだが、やはり1、2、6回の失点シーンではこれまで同様、若いカウントから入り球、カウント球を狙われた。原因について、メジャー関係者は「一番は日米の野球の違いに田中自身がまた対応しきれていないのでは」と切り出し、こう続けた。

「今の田中は7年間のメジャー生活で打ち気にはやる打者への攻め方が染み着いていると思う。一方で、日本の打者は彼の周波数(考え方)が読み取れるので、浅いカウントではストライクを取りにくる球を絞りながら狙いに行き、空振りを取りにくる深いカウントではボールを見極めてくる。その周波数が合ってしまう分だけやりにくそう。逆にクロンに対してはスライダーで簡単に追い込んでスプリットを注文通り振ってくれるので攻め方がシンプルだった」

この点については、田中将も自覚しているようで「(日米で)打者のアプローチの仕方が違う。ゲームの中で配球、投球内容で違う部分は感じている」と話している。5日の広島戦でも狙われやすいボール先行カウントでは慎重にスプリットをカウント球に使うなどの工夫が見られたが、試行錯誤はまだ続きそうだ。

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