【大学野球】東京六大学HR王や153キロ右腕…注目のドラフト候補も出場、全日本大学選手権が開幕

慶大・正木智也【写真:小林靖】

東京六大学からは慶大が出場、13日に神宮球場で日本一が決定

全日本大学野球選手権大会が7日、神宮球場と東京ドームを舞台に開幕する。コロナ禍で昨年は中止に。2年ぶりに開催される今大会で70回目を迎える。最多出場は福井工大の43度目。国学院大と桜美林大、沖縄大が初出場する。全27チームが大学日本一を目指し、しのぎを削る。

東京六大学からは、慶大が3年ぶり12度目の出場を果たした。注目は、右のスラッガー・正木智也内野手(4年)。慶応高時代に通算50本塁打を放った実績を持ち、今季のドラフトでも上位指名が予想される。この春も4本塁打を放ち、リーグ戦通算10本塁打に乗せた主砲が、打線を牽引する。投手陣では、防御率リーグ上位2人の森田晃介投手(4年)、増居翔太投手(3年)が2枚看板。9日に神宮球場で、九産大と和歌山大の勝者と初戦を迎える。第1回大会優勝の名門だが、1987年を最後に優勝から遠ざかっている。投打の活躍で、34年ぶり4度目の悲願を目指す。

初出場ながら、前評判が高いのは国学院大。2番・川村啓真内野手、3番・山本ダンテ武蔵外野手の2人で打撃3部門を独占し、東都リーグ優勝。この春からエースの池内瞭馬投手(4年)は防御率1.43で最優秀防御率を獲得している。9日に東京ドームで、岐阜聖徳学園大と富士大の勝者と対戦する。

同じく初出場の桜美林大は、今年で大学創立100周年。春の首都大学リーグはプレーオフで2連勝し、初の切符を手にした。2016年秋の明治神宮大会では、現ロッテ・佐々木千隼投手がエースとして活躍し、準優勝。メモリアルイヤーに、5年前の全国舞台で届かなかった高みを目指す。

東都リーグでMVPとなった国学院大・山本ダンテ武蔵【写真:楢崎豊】

東北から九州まで150キロ超え投手陣がズラリ、右のスラッガーにも注目が集まる

投手戦が予想されるのは、東北福祉大-共栄大戦(8日・東京ドーム)か。ともにドラフト候補の東北福祉大のエース・椋木蓮投手(4年)と共栄大・小向直樹投手(4年)が相まみえる。椋木は仙台六大学リーグの最終カードとなった5月29日の仙台大戦で、4回2/3を6失点と乱調。同31日のプレーオフでも最終回に登板し、1回2失点と苦しんだ。対する小向も春季リーグは1勝1敗と本来の成績が残せておらず、両投手の復調具合が勝負の鍵を握ってきそうだ。

西の投手陣も見応え十分。関学大のエース・黒原拓未投手(4年)、西日本工大・隅田知一郎投手(4年)はともに、150キロを超えるサウスポー。黒原はこの春、3完封を含む5勝1敗、防御率0.70の好成績を収め、28年ぶりの大学選手権出場に貢献。隅田は九州地区大学野球北部九州ブロックでMVPの活躍を収め、プレーオフでも2試合に投げた。さらに天理大も、牛島樹投手(4年)、井奥勘太投手(4年)と左右の柱が揃い、日程が詰まっているトーナメントで層の厚さを見せたい。

右の長距離砲も今大会は多い。慶大・正木や国学院大・山本に注目が集まるが、大商大・福元悠真外野手(4年)も負けていない。智弁学園時代は4番も務め、春夏合わせ3度の甲子園に出場。2016年の選抜優勝に貢献した。大学入学後は主将も務め、昨秋、今春と2年連続でリーグMVPも獲得している。また、上武大・ブライト健太外野手(4年)は今大会から左翼のレギュラーを獲得。主に4番に座って3本塁打を放った。初戦の西日本工大・隅田との対決にも注目だ。

2019年大会は、森下暢仁投手(現広島)を擁する明大が佛教大を6-1で下し、日本一に輝いた。プロのスカウトも多く視察に訪れ、ドラフト候補生たちにとっては格好のアピール機会にもなる。日本一をかけた1週間の熱戦。予定では13日に神宮球場で決勝が行わる。(Full-Count編集部)

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