天安門事件から32年「都合の悪いことをなかったことしている」世界からの抗議の声は中国に届くか

天安門事件から32年が経過した

民主化を求める市民を軍が武力弾圧した中国の天安門事件から、今月4日で32年を迎えた。7月に共産党が創立100周年を控える中国では、香港でも追悼集会の開催を認めないなど徹底的に取り締まりが行われたが、日本ではほとんど妨害の動きはなく、抗議活動が行われた。

大阪では5日、事件に抗議する市民約20人が駐大阪総領事館で抗議した後、南海難波駅前で街宣を行った。事件の真相究明を求めるとともに、チベット、ウイグル、南モンゴルに“弾圧”を強める中国を非難した。

過去のウイグルへの弾圧に対する抗議デモでは、中国人とみられる反対派が妨害したこともあった。そうしたこともあってか警察関係者が遠巻きに警戒に当たったが、関係者は「コロナ禍でインバウンドがまったくいなくなったせいか、妨害の動きはなかったですね」と話した。

この日は「米国からジェノサイド(大量虐殺)と認定された中国が、平和の祭典である五輪を開催する資格はない」として、2022年北京冬季五輪の開催地変更を求める署名活動も行われた。

「天安門事件同様に、武漢肺炎もなかったことにして五輪を開催しようとしている。おかしな話で責任を取らせるのが先だ。32年前に民主化されていれば、こんなことにはならなかった。都合の悪いことをなかったことにさせないためにも、天安門事件を訴え続けていかなければならない」(前同)

中国の人権侵害をめぐっては、欧米各国から非難が寄せられている。日本でも今国会での対中非難決議の採択を目指しているが実現は難しい情勢とあって「中国は尖閣諸島にも侵入を続けており、日本も黙っていてはいけない問題。中国が攻めてきて、自分が痛い目に遭ってからでは遅いのです」と訴えた。

だが欧米各国の非難にも「内政干渉だ」と聞く耳を持たない中国に、抗議の声は届きそうもない。

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