山県の歴史的瞬間、スターターが直感「今だ」

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横断幕を掲げ、日本記録樹立を祝う陸上競技関係者=鳥取市布勢、ヤマタスポーツパーク陸上競技場

 好記録が出る「高速トラック」として名高い鳥取市布勢のヤマタスポーツパーク陸上競技場で6日、男子100メートルの山県亮太(28)=セイコー=が日本記録となる9秒95をたたき出した。競技運営に携わった鳥取県内の陸上競技関係者は、一夜明けた7日も興奮冷めやらぬ様子で「歴史的瞬間」を振り返った。

 スターターを務めた坂田裕さん=河原中教=が当時の状況を再現する。

 「オン・ユア・マークス(位置について)」「セット(用意)」と告げた瞬間にふっと風が弱まり「今いい感じだ」と、スターター歴30年の直感で、ほぼ間を置かずに号砲を鳴らした。

 「記録が出た瞬間は、身震いがした」。それでもこの日は強い追い風で、2.1メートル以上の「参考記録」となるレースもちらほらとあり、「風速が出るまで長く感じた」という。公認が決まると、思わず周辺のスタッフとハイタッチをした。

 選手誘導に関わった冨田学さん(47)=八頭高教=も「興奮を抑えるのに必死でした」と話す。

 本来、ゴール後に表彰台へ案内するが「山県選手が喜んでいて誘導できる状況ではなかった」という。スタッフとして混乱を招かないよう、自身は終始冷静を装っていたが「目の前で日本記録。うれしくないわけがない」と声を弾ませた。

 高反発の走路と、安定して吹く追い風が同競技場の特徴だ。過去には女子100メートルや200メートルなどで当時の日本記録をたたき出しており、県内の陸上関係者は「ここで9秒台」との期待は高かった。鳥取陸上競技協会の新田明彦専務理事(67)は「やっと出た。正直ホッとしている」と安堵(あんど)の表情を見せた。

 7日には、記録樹立を祝う横断幕が披露された。陸協の浜崎晋一会長(66)は「1人でも多くここから世界に羽ばたいてほしい」と願った。