JR長崎、浦上駅 なぜ改札口外にトイレがない? 観光地としての課題

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九州新幹線長崎ルートの暫定開業を控え、まちづくりの拠点としても期待される長崎駅=長崎市

 「国際観光都市の玄関口なのに、JR長崎、浦上両駅の改札口の外にトイレがないのはなぜ?」-。来年秋に暫定開業する九州新幹線長崎ルートや長崎駅周辺再開発が進む中、駅のトイレをめぐり、本紙にこんな質問が寄せられた。改札口の内側にトイレを設置している理由をJR九州に尋ねると、「列車の乗降客を想定しているため」と回答。質問を寄せた長崎市内の70代男性は「見送りや乗車券購入で駅を利用する人もいる。もう少し幅広い利用を想定しないと、観光都市の看板が泣く」と疑問を投げ掛ける。
 長崎、浦上両駅はJR長崎線の高架化事業に伴い改築され、2020年3月に供用開始。19年度の1日乗車人員は長崎駅が9699人(JR九州管内で14位)、浦上駅は2590人(同71位)。市街地の南北に観光名所が広がる同市の玄関口といえる。
 両駅とも改築前、改札口の外にもトイレがあったが、現在は1階改札口の内側のみ。改札口の外のトイレは、両駅とも近くの商業施設まで約200~300メートル離れている。JR九州は「急に用を足したいという申し出があったら、状況を聞き、個別に対応している」と説明する。
 これに対し、質問を寄せた70代男性は、観光を市の基幹産業とする地域性を指摘。「観光で飯を食っている町なのに、乗降客しか駅のトイレを使えないなんておかしい。海外の駅は、だれもがいつでも利用できるトイレがある。地元自治体も加わり、検討し直してほしい」
 浦上駅を通勤で利用する市内の50代女性は「改札口の外にトイレがないことを意識したことはなかった。でも、トイレだけを探して駅に来る観光客は困るかもしれない」と話す。

1階が改札口とトイレ、2階がホームのJR浦上駅=長崎市

 駅は鉄道利用にとどまらず、多様な公共的機能を持ち合わせる。駅を結節点としたバス、タクシー、電車など他の公共交通機関の利用をはじめ、交流人口の増加を目指したイベント開催も活発化している。大雨や台風時の避難場所にも想定され、トイレが改札口の内側だけでは対応が難しい場面も想定される。
 誰もがいつでも利用できるトイレを求める声がある一方で、犯罪の温床となる恐れやマナーを欠く利用への懸念も否めない。安全管理については、設置、所有する民間事業者の判断に委ねているのが実情だ。
 長崎駅の場合、市のMICE(コンベンション)施設「出島メッセ長崎」、新幹線ホームと高架下の商業施設、新長崎駅ビルなどの周辺施設が順次、完成すると、乗降客以外のトイレ利用の利便性は向上するはずだが、実現するのは数年後の話だ。
 県都の“顔”である駅のトイレをめぐる質問が、駅の公共性や安全面、観光地のもてなしに対する課題を浮かび上がらせた。駅を中心にしたまちづくりを官民で再考する機会にできるか、注目される。