世界最高水準の設備公開 東北電力上越火力発電所 ガスコンバインドサイクル発電方式 出力は一般家庭80万世帯分

 東北電力新潟支店は7日、上越市八千浦で建設を進める上越火力発電所の発電設備を報道陣に公開した。同発電所の出力は一般家庭80万世帯分の使用電力量に相当する57万2000キロワット。来年12月の営業運転開始を目指す。

熱効率63%以上目指す 

 使用燃料は天然ガス。隣のJERA上越火力発電所から供給を受ける。高温の燃焼ガスでガスタービンを回し、その排ガス熱を回収して蒸気を発生させ、さらに蒸気タービンを回す「ガスコンバインドサイクル発電方式」で発電する。

世界最高水準の熱効率を実現すると期待されるガスタービン(奥)と発電機

 同社は一連の設備により、ガスコンバインドサイクル発電設備として世界最高水準とされる、熱効率63%以上を目指す。熱効率以外にも、従来型ガスタービンに比べて二酸化炭素(CO2)排出抑制に優れる、などの効果が期待されている。

 「発電所本館建屋」に設置されたガスタービンは東北電力と三菱パワー(横浜市)の共同開発。長さ約13メートル、幅と高さが6メートル、重量約500トンで、5月に据え付けられた。発電機や蒸気タービンなど、一連の機器は国内各地から直江津まで海上輸送するなど、海に近い立地を生かした。本館建屋に取り付けられた制御盤などの機器類は、津波での浸水を避けるため高所に設置した。東日本大震災で太平洋側の発電所が被災した経験を踏まえてのものだという。

進捗36・1% 工事順調に

 中央制御室や執務室が入るサービスビルや海水の取水・放水路工事も進んでおり、5月20日時点での進捗(しんちょく)率は36・1%。

タービンや発電機を格納する「発電所本館建屋」をはじめ建築物や水路の建設が進んでいる

 上越火力発電所建設所の西村由明所長は「工事は計画通り進んでいる。今年に入って資材調達や作業員確保の面で、新型コロナウイルスの影響も受けていない」とした。新潟支店の藤倉勝明支店長は「営業運転開始を目指し、安全確保を最優先に、環境保全に万全を期しながら工事に取り組んでいく」と述べた。

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