石木ダム 住民回答「工事中断 話し合いを」 長崎県は対応を検討

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、県が水没予定地に暮らす13世帯の反対住民に対話に向けた事前協議を申し入れた文書への回答が7日、県庁に届いた。住民側は回答で「工事を即時中断して話し合いができる環境を」と求めているが、中断期間などについて具体的な言及はなく、県河川課は「工事中断について疑問点がいくつかある」として対応を検討している。
 住民側はこれまで中村法道知事との対話の条件として工事中断を求めてきた。一方、県側には「いったん工事を止めると、合意がなければ再開できないのではないか」など中断に慎重な意見もある。
 県は仮に中断する場合の期間なども含めた条件面を詰める事前協議の場を設けたいとして、5月21日付で13世帯に文書を送付。事前協議に出席する住民を5人程度選んで回答するよう申し入れた。住民側は回答で事前協議に応じるかには触れておらず、県が申し入れ後も新たな箇所での工事や重機の搬入を強行していると批判している。
 一方、佐世保市の朝長則男市長は工事中断の可否について、7日の定例記者会見で「市は県に(工事を)委任しており、県がどうするかという話。県に(意見を)求められれば検討する」と強調。「必要性の問題は法的に決着がついている。生活再建や今後の地域振興について協議するのであればいつでも出て行きたい」と述べた。

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